落下して来るゴーレムに、跳躍した私はすれ違いざま、渾身の一撃をお見舞いした。
落下して来るゴーレムに、跳躍した私はすれ違いざま、渾身の一撃をお見舞いした。
何事もなかったように、着地するゴーレム。
……残念ながら、傷一つ与えた様子はない。
やはり、ダメですか……
いえ、見てください!
ゴーレムはただ立ち尽くしているだけで、襲ってくる気配はない。
勇者様の固有スキルのおかげで、敵の操作からは解放されたようですよ!
ふむ……
少年もまた崖から降り立ち、ゴーレムを見上げる。
ダメージはなくとも、接触するだけでスキルが発動するようですね……
ま、解除されても、再度「操作」すれば良い話ですけど♪
少年はステッキを振り上げる。
そうはさせませんよ!
汝の力、我は求め訴えたり……
出でよ! アイス・ゴーレム!
一瞬で、巨体が姿を現した。
大きさはゴーレムと同じくらい、体表は氷と同じ光沢を放っている。
その名の通り、「氷」で構成された召喚獣なのであろう。
何度やっても同じこと
「アイス・ゴーレム」とやらも、僕が使役させていただきますよ
ゴーレムに向けて振り上げていたステッキを、アイス・ゴーレムへと向け、少年は不敵に笑う。
迫り行くアイス・ゴーレムに向けて、少年はステッキを一振り。
しかし、アイス・ゴーレムは歩みを止めない。
!?
操れない!?
少年は再度、ステッキをアイス・ゴーレムに向けて振り上げる。
しかし、アイス・ゴーレムが迫るスピードが予想外に速かったのか、舌打ちを一つ。
それは、逃げに転じるまでの一瞬の「隙」となった。
跳躍する少年。
しかし、アイス・ゴーレムは少年の足を掴み、そのまま容赦なく地面に叩き付けた。
かはっ……
地面に這いつくばらされる少年。
離せっ!
離せよっ!
アイス・ゴーレムはその巨体で、少年を地面に押さえ込んで離さない。
瞬間、召喚士さんが叫んだ。
今です! 勇者様!
お覚悟っ!
私は反射的に駆け出し、少年の頭上で剣を振りかぶる。
やめろぉぉぉオオオオオ!!!!!
嘘……だ……
後に残ったのは……特大の宝石。
やりましたね! 勇者様!
ええ!
まさか、魔王城に着くまでに(1人だけとは言え)刺客を倒すことが出来るとは思わなかった。
ふぅ……これでよし
召喚士さんはゴーレムと再契約し、転移の魔法陣を解除する。
……とりあえずはこれで一安心と言えよう。
では、戻りましょうか
疑問なのですが……
どうして「アイス・ゴーレム」は、敵に操られなかったんですか?
召喚士さんに訊くと、意外な答えが返ってきた。
それはですね……
「アイス・ゴーレム」は召喚獣ではなく、私の魔法なんです☆
確かに、いつの間にやらアイス・ゴーレムの姿は無くなっている。
? どういうことです?
見た目こそ「氷のゴーレム」ですけど、実際は「ただの氷の塊」なんですよ
なんと……
あの少年の能力は「意識を直接乗っ取る」ものだったのでしょう
「氷」には意識がありませんから、どう頑張っても操れなかった訳です☆
なるほどです!
召喚士さんの説明に納得した。
しかしながら……召喚士さんが操られていたら危なかったですね……
もし、そうなっていたら……勇者様が助けて下さってますよね?
勿の論ですぞ!
結果オーライ。
私たちは聖騎士殿の元へと向かうことにした。
……その時は全く気付いていなかった。
崖の上から、私たちを見詰める瞳があることを……。
ワタクシの愛するお兄様が……
お亡くなりに……なられた……
うふ……
ふふふ……
アハあハハはハハハはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは……
コノウラミ……ハラサデオクベキカ……
-次回を待てっ!-
応援ありがとうございます☆
考えてた以上に話数が多くなっています^^;完結はさせたいですので、長い目でお付き合い頂ければ幸いです♪
しかし、続けて読んで下さっている方がいて下さって良かった…(*^^*)