落下して来るゴーレムに、跳躍した私はすれ違いざま、渾身の一撃をお見舞いした。

何事もなかったように、着地するゴーレム。



……残念ながら、傷一つ与えた様子はない。

リストラ

やはり、ダメですか……

召喚士

いえ、見てください!

ゴーレムはただ立ち尽くしているだけで、襲ってくる気配はない。

召喚士

勇者様の固有スキルのおかげで、敵の操作からは解放されたようですよ!

白虎

ふむ……

少年もまた崖から降り立ち、ゴーレムを見上げる。

白虎

ダメージはなくとも、接触するだけでスキルが発動するようですね……

白虎

ま、解除されても、再度「操作」すれば良い話ですけど♪

少年はステッキを振り上げる。

召喚士

そうはさせませんよ!

召喚士

汝の力、我は求め訴えたり……

召喚士

出でよ! アイス・ゴーレム!

一瞬で、巨体が姿を現した。



大きさはゴーレムと同じくらい、体表は氷と同じ光沢を放っている。



その名の通り、「氷」で構成された召喚獣なのであろう。

白虎

何度やっても同じこと

白虎

「アイス・ゴーレム」とやらも、僕が使役させていただきますよ

ゴーレムに向けて振り上げていたステッキを、アイス・ゴーレムへと向け、少年は不敵に笑う。

迫り行くアイス・ゴーレムに向けて、少年はステッキを一振り。



しかし、アイス・ゴーレムは歩みを止めない。

白虎

!?

白虎

操れない!?

少年は再度、ステッキをアイス・ゴーレムに向けて振り上げる。



しかし、アイス・ゴーレムが迫るスピードが予想外に速かったのか、舌打ちを一つ。



それは、逃げに転じるまでの一瞬の「隙」となった。



跳躍する少年。



しかし、アイス・ゴーレムは少年の足を掴み、そのまま容赦なく地面に叩き付けた。

白虎

かはっ……

地面に這いつくばらされる少年。

白虎

離せっ!
離せよっ!

アイス・ゴーレムはその巨体で、少年を地面に押さえ込んで離さない。



瞬間、召喚士さんが叫んだ。

召喚士

今です! 勇者様!

リストラ

お覚悟っ!

私は反射的に駆け出し、少年の頭上で剣を振りかぶる。

白虎

やめろぉぉぉオオオオオ!!!!!













 

白虎

嘘……だ……














 














 

後に残ったのは……特大の宝石。

召喚士

やりましたね! 勇者様!

リストラ

ええ!

まさか、魔王城に着くまでに(1人だけとは言え)刺客を倒すことが出来るとは思わなかった。

召喚士

ふぅ……これでよし

召喚士さんはゴーレムと再契約し、転移の魔法陣を解除する。



……とりあえずはこれで一安心と言えよう。

召喚士

では、戻りましょうか

リストラ

疑問なのですが……

リストラ

どうして「アイス・ゴーレム」は、敵に操られなかったんですか?

召喚士さんに訊くと、意外な答えが返ってきた。

召喚士

それはですね……

召喚士

「アイス・ゴーレム」は召喚獣ではなく、私の魔法なんです☆

確かに、いつの間にやらアイス・ゴーレムの姿は無くなっている。

リストラ

? どういうことです?

召喚士

見た目こそ「氷のゴーレム」ですけど、実際は「ただの氷の塊」なんですよ

リストラ

なんと……

召喚士

あの少年の能力は「意識を直接乗っ取る」ものだったのでしょう

召喚士

「氷」には意識がありませんから、どう頑張っても操れなかった訳です☆

リストラ

なるほどです!

召喚士さんの説明に納得した。

リストラ

しかしながら……召喚士さんが操られていたら危なかったですね……

召喚士

もし、そうなっていたら……勇者様が助けて下さってますよね?

リストラ

勿の論ですぞ!

結果オーライ。



私たちは聖騎士殿の元へと向かうことにした。









 

……その時は全く気付いていなかった。



崖の上から、私たちを見詰める瞳があることを……。









 

???

ワタクシの愛するお兄様が……
お亡くなりに……なられた……

???

うふ……

???

ふふふ……













 

???

アハあハハはハハハはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは……





















 

???

コノウラミ……ハラサデオクベキカ……



















 

-次回を待てっ!-

pagetop