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第一夜「幸福な不幸」
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ストリエ読者の皆様、
お初にお目にかかります。
『意味が分かると怖い話の館』案内人、
『来栖 禅(くるす ぜん)』と申します。
以後、お見知りおきを。
私と……もうひとり、
そう……少々性格が
捻じ曲がった案内人が紹介する
『意味が分かると怖い話』は、
完全オリジナルのモノとなります。
是非是非、物語に隠された謎を
解き明かして頂ければ、
これ幸いに御座います。
本日お届けするのは
『幸福な不幸』という
物語と相成ります。
さて……貴方様は真実を
暴くことが出来るのでしょうか?
お手並み拝見と参りましょう。
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第一夜「幸福な不幸」
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歴史ある神社の神主である祖父が死んだ。
遺言によると不幸と幸福が紙一重の、
至宝の宝が神社の床下に眠っているらしい。
親父とお袋が俺の学費の為にと
神社の床下を掘り起こしに行って、
帰ってこなくなった。
遺言に書かれていた不幸が訪れたのかも知れない。
だが、幸福な事に遠い親戚と名乗る
オジサンとオバサンが、
月々お金を寄こしてくれるようになった。
数年後――。
大学を卒業した俺は、立派な社会人になり、
生涯の伴侶と結ばれ子供を授かった。
そして父となった俺は親父とお袋の苦労を知った。
働けど働けど楽にならない暮らし。
家族を養う大変さを知った。
更に数年後――。
医大への進学を希望する息子の学費を作る為に、
俺はかつて聞いた祖父の残した宝を求めて、
今はもう寂れた神社へと向かった。
驚いたことに、
床下には本当に宝が入っていそうな
古びた鉄の箱があった。
箱を開けるとホコリの混じった煙が舞い上がり、
中はからだった。
良く見ると箱の中に数字が書かれていた。
「1235689」
それ以外には
何も見つからない、やっぱり空だ。
宝の伝説なんてのは、やはりデマカセだったのだ。
こうなれば、自力でどうにかするしかない。
俺は苦労して家計を支え続けた。
だが、悲しい事に妻が俺より先に旅立ち、
辛い事に息子も俺より先に逝ってしまった。
寂しさが見せる幻覚か、死んだはずの親父とお袋を、
最近、家の近くで見かけたような気がする。
さて、謎は解けましたでしょうか?
そうそう、ちなみにですが
答え合わせは御座いません。
出題者が我が物顔で
答えを披露するなんて、
滑稽の極みでしかありません。
ですが、答えは必ず隠されています。
ご友人と答えを探すも自由、
コメント欄を使って
情報交換をするも自由、
フェイスブックや
ツイッターを利用して
答えを探すも自由……。
ただ、その際は出典を明記して頂ければ
これ幸いに存じます。
何はともあれ、
答えは解き手の数だけ
あるのやもしれません……。
では、また次回お逢いしましょう。
案内は、来栖 禅でした。