突然であるが、私は化け猫である。

正確には、化け猫の種族の末裔である。

満月の夜に変身はしない。それはオオカミ人間だからだ。
とりあえず、ぱっと見はフツーの人間で
自由自在に耳や尻尾、ツメなどもだせる。
身体能力はずば抜けていい。

学力も上位の方だし、見た目も悪くない。


だが、私は人生に絶望をしている。


化け猫だからだ…。


家や、学校生活でいまのところ困ったことはないが

人とは違うということが

私を苦しめる。


できれば、『普通』でありたかった。


普通の女子高校生で心に荷物を抱えることなく

人生を過ごしたかった。


もし、

もし、みんなにこの事がバレれば

見世物として吊るしあげられる。

怖い、怖いよ!

バレたらどうしよう!!


みんな大好きだけど

私の味方でいてくれるのかな?

本当に信じて大丈夫?


疑うのはよくない。

よくないよ…


でも、でも!でも!!


あーーー!!

なんでこんなに悩まなきゃいけないの!?

もっと人生楽しみたいのに!


いつも願っている。


夜、目を閉じるとき

朝、目を開けるとき


私の願いが叶っていればいいのにって…

普通の人間になれたらって。




お母さん

美子ちゃん!あさごはんできたわよー!
起きてー。

私は、母の声で目を覚ました。


ほらね、


今日も私の願いは叶わなかった。


稲村美子

あー、嫌な夢みちった…。

化け猫と月の日常(1)

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