それから半年

電車に揺られ、トンネルに入った所で、窓に自分の冴えない顔が映り、それに気付いて少しだけ笑顔を作ってみた。
笑った所で、別に何かが変わるわけではないが、本当に何となくだ。
理由など無く、なんとなく…。


半年が経過して、今でも時々思い出す。
あのコンセプトカフェで起こった事は何だったのだろうか、テレビの素人ドッキリ企画だったのか、妖怪の仕業とでも言うのか、未だによく解ってない。


けど、あの後直ぐに僕は何となく喫茶店でバイトを始めた。特に理由なんて…いや、本当は偶然、『喫茶店のバイト募集』って広告を見つけて、もしかしたらって思ったんだ。
もしかしたら、あのコンセプトカフェにまた出会えるんじゃないかって…。
あの、強引な女性に、よく解らない人たちに…会えるんじゃないのかって。


まぁ…結局、ここの喫茶店は普通の店だったけどね。


あれから相変わらず、僕のやりたい事は見付からないけど、この喫茶店で仕事をしながら何かを探そうと思う。

そう、あれは貴重な経験だったんだと…そう思う事にしていた。

バイトに向かう途中、駅の改札を抜けると、駅前の様子はいつもと違って騒がしかった。
人が…何かに慌てているようだった。

…なんだ?

みんな、空にスマホや、カメラを向けていた。
中には、走り出す人もいる。
車のクラクションもウルサイ。
叫び声…怒声…

僕もみんなにつられて空を見上げると…本来ならあるハズのないモノ…いや、あってはならないモノが上空に浮かんでいた。

あ、あれは……インベーダー

そう呟くと、突然腕を引かれた。

シールドを突破されたの!

突破されたら…こうなるのか

そうよ

…それなら約束だったよね

うん…力を貸してくれる?

あぁ。準備はできてたさ!

地球防衛ゲーム

‐完‐

【第5話】それから…

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