配置についたミナミは、自身のPCモニターを確認して、そっと呟いた。
警報っ!!!
またか!!
総員配置にっ!
配置についたミナミは、自身のPCモニターを確認して、そっと呟いた。
…嘘でしょ…
ミナミ!どうしたの!?
10…30???過去にない数の敵影です…
なるほどな…
二階堂さん!やれますか?
あいにく、この腕じゃムリだ…
……そんな
………
…………
…………
エースと呼ばれていた二階堂さんの今の腕の状態ではとても戦闘はできないという事実…そんな絶望の中、部屋中の視線が僕に集まっているのを感じた。
そうか…そう言う事か…そうなるよな。
僕の中で、全てが繋がって行くような感覚があった。
僕が何故ここにいるのか…僕を仲間に誘ったその後での、この襲撃…そうだ間違いない。
絶対に間違いないっ!!
確固たる自信を持ちつつも、そっと僕は言葉を発した。
ま、ま、まさか…ですよね。そうなりますよね。ここまで来たら、そーゆー流れになりますよね。突如襲ってきた敵に対して、対抗する手段がない!でも、そんな時に残る希望の光!そう!わかりますとも!この流れ!
行けるか!?
待ってました!
はい
っって!おい!カンバヤシ!!!そこは僕だろ!
見せてやりますよ
やめろ!2体でヒーヒー言ってたじゃんか
今こそ本気を見せる時!
おぉぉ!頼もしいぞカンバヤシ君!
って!話を聞けよ!
カウントダウン!!
10、9、8、7、6、5、4、3、2、1!来ます!!
再び巨大モニターに映し出される『スペースインベーダー』
こ、こいつぁ…50はいるか
これが普通だから。みんなコレで遊んでるから!
先の戦いで破壊されたシールドも回復しています
いや、回復してない事はないでしょ
行くぜっ!!!
ついに、闘いが始まった…。
くっ…なんて攻撃だ…次から次に攻撃してきて、まったく隙がねぇ
カンバヤシ君!良く見るんだ!
そうだ!規則的に撃ってるだろうが
大丈夫だ今のキミなら撃てば必ず撃破できる!
そうそう…たくさんいるからな。撃てばどれかには当たる
いいぞ!その調子だ!
くっ…ですが、徐々に避けられて…
お前の狙いが甘いだけだーーーーー!
ミナミ残弾数は?
まだ大丈夫です
弾数あるの!?
こうなったら…イチかバチかだな
え…
いいか、カンバヤシ君。私の言う事を良く聞くんだ
は、はい
今から一切の攻撃を禁じる
なっ!!
エース!?
ちょっと、待ちなさい!
― ポーズ ―
[ゲームに戻る]
[ボタン配置変更]
[ステージのやりなおし]
おい…スタートボタンで停められるのかよ!
それは、私たち…いえ、全人類に死ねと言っているの?
いや、違うさ。私には作戦がある。それにカンバヤシ君なら、きっとやってくれる
…信じても…いいのね?
あぁ
おーい。オレの事も、そろそろ信じろよ。ってか、「やり直し」って項目があるぞ~。
では、カンバヤシ君。ココからはキミの勇気が試される。私が許可をするまで、攻撃を避ける事だけに集中するんだ。
わ、わかりました
私を信じてくれ
はい!
じゃぁ、再開!
了解!
って、オレの言葉で良いのかよ!
シールドが…どんどん破壊されていく
ヤツらにはシールドすら無意味なの…
まだだ…まだ引きつけろ
…シールドが全て破壊されました
ほ、本当にコレで良いのか!二階堂…おい!
…
おい!聞いているのか―――
機体を一番左へ!到着と同時に撃て!
うぅぅぅおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!
どんどん撃て!!
名古屋撃ちじゃねぇか
いや違う。二階堂撃ちだ
ダサい
た…倒した…
やったぞ!
おーーーい。そろそろ、解放してもらえませんか?
何とかピンチは切り抜けたようね…って二階堂?
すまない。実はキミ達に伝えなければならない事がある
えっ
ここ最近、インベーダーの動きが活発化しているのは解っているだろう。おそらく今のまま、ジリ貧で迎撃だけをしていては、やがて突破されるだろう
…やはり
そこでだ。一度チームの再編成を含めて、ここの基地を解体し、大規模な基地に転属となる。私はそこで総司令を勤める。キミ達は今すぐ、新たな基地へと向かって欲しい
ま、マジかよ
いよいよ…地球もピンチ…
でも、やるしか…ないのよね
外に車を用意している。カンバヤシ君・ミナミ君・モモタ君!みんな先に行ってくれ
了解!!
って!置いてくなっての!
さて…話は途中だったな。佐藤ちゃんに花沢クン
…はい
おい!さっさと解けって!もうこんな茶番は嫌だ!何なんだよ。オレを騙して一体何の得があるってんだよ
あらら…また疑っちゃったか。じゃぁ…仕方ないか。コレを現実だと思ってくれないと、そもそも始まらないんだ…
何を言ってんだよ!
いいかい?キミは日常に変化を求めていたんだろ。だから、花沢クンの意味不明な誘いについてきてしまった。でも、変化を求めるのに、バイトを辞める事が先なのか?キミは自分を追い込んだつもりかもしれないが、考えが甘いだけだよ。バイトをした現状で追い込む方法だってあったはずさ。受け身では何も変わらないのさ。自分の力で進むんだ。目の前のチャンスをチャンスと認識できるように、余裕を持たなければいけない
なんだってんだよ…僕の何を知ってるんてんだよ!
わかるのさ
…本当にすまない
はぁ?なっ!なんだよ!
気付いたら花沢という女がそっと俺の隣に立っていた。
もしも、もしもだ…今回の事を『現実』と思った時に、私がキミと改めて出会ったら…私からキミに言う…力を、力を貸して欲しいと
おい!どーゆー事だ―――!
チクっ!
抵抗する間もなく、躊躇の無い動きで、僕の首元に注射をうたれた…。
こ、これって!記憶が………おい!おい!
あっという間に、意識が遠のき…どのくらいの時間が経過したのだろうか…僕は目覚めた。
…うぅ
周囲を見回し、自分の身体を確認して、そっと身体を起こす。部屋の中を数歩進み、もう一度周囲を見回し…頭を2・3度掻き毟り腕組みしてから、ため息。
全然、記憶…消えてねぇからな