小絹

さて、そろそろきりの良いところだし、漫研の方に行くか?

湯島

そうだな。でも、その前にちょっと聞いて欲しい話があるんだけど

小絹

聞いて欲しい?どんな話だ

湯島

根津先輩さ、もう就職先決まったじゃん

小絹

ああ、結構大きな会社だと聞いたが

湯島

俺さ、根津先輩に釣り合えるようになりたくて、この学校選んだってのもあって

小絹

そうなのか?

湯島

今、俺と根津先輩が付き合ってるの、知ってるよね?

小絹

あれだけ露骨にされて知らないはずが無いだろう

湯島

それで、根津先輩の足は引っ張れないなって思って

小絹

まぁ、引っ張るというか、足手まといになりたくは無いな

湯島

根津先輩がどんどん先に進んでいくのに、俺このままでいいのかなって

小絹

湯島は、自分が進んでいないと思うのか?

湯島

なんというか、まだ所詮学生というか

小絹

この学校に入ったのは、根津先輩と釣り合いたいと言うだけだったと言うのなら、お前はずっと釣り合うことは出来ないだろうな

湯島

んんん……

小絹

でも、そう言うわけじゃないんだろう。
お前だって進みたい道があって、その道を進むために、少なくとも修士まで取るつもりなんだろう?

湯島

でも、修士課程終わって就職しても、収入が先輩より少なそうで

小絹

人間の価値は学歴と収入だけだと言いたいのか?

湯島

そういうわけじゃないけど

小絹

お前が根津先輩に相応しい価値があるかどうかを決めるのは根津先輩だ

湯島

…………

小絹

もし、お前と根津先輩の立場が逆だったとして。
自分より学生である期間が長くて収入が少ない相手を、簡単に切り捨てるのか?

湯島

え?それはない

小絹

そう言う事だ

湯島

俺、もうちょっと自信持った方がいい?

小絹

持たないと根津先輩に失礼だろう

湯島

そっか、なるほど。
ありがとな

小絹

さて、もう1度聞くがそろそろ漫研の方に行くか?
それとも、まだ話は有るか?

湯島

なんか安心したからそろそろ行こうか

小絹

そうか。じゃあ片付けよう

根津

おや、今日は随分と遅いね

小絹

少し話し込んでまして

根津

そうなの?

湯島

根津先輩、よかったら今度の日曜日、一緒に食事でもどうですか?

根津

いいけど、なんで急に

湯島

就職祝いをしてなかったなと思って

根津

そう?じゃあ一緒に行こうか

住吉

湯島先輩と根津先輩って、仲良いんですね

小絹

ああ、そうだな

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