空が紅い。

異常気象か、それとも流れた血が多すぎて、蒸発した結果空を紅く染めてしまったのか


辺りからは、今なお怒声が響き渡っている。

はあっ……はあっ……

………大丈夫かい?

たくさんの仲間が死んでしまった。
たくさんの友達が亡くなってしまった。


それなのに、どうして生きなければならないのだろう。
私達みたいな子供が、こんな世界で生きていけるわけないのに………

人と人の戦争が激しかった時代、人は強力な力を持つ妖怪を仲間にしようとたびたび使者を送ってきた。

しかし、妖怪からすれば人の争いなどに何の興味もない。
寧ろ、自分たちの生活を荒らされることに嫌悪を抱いた。

妖怪は使者を斬り刻むと、山の麓に捨てた。
明確な、拒絶の表れだった。

拒絶され、使者を殺された人は激昂した。

書状を書いて各大名に回し、いつしか人対妖怪の構図が出来上がってしまった。

うっ……

大丈夫!?

うっ………ぐすっ………

あと少しだ。頑張って

ほら、ここに座って

はあ……

少し休んでいよう。僕は安全か見てくる

ダメ………行かないで

けど………

一人にしないで………

……大丈夫だよ。すぐに帰ってくる。ちょっと見てくるだけだから

けど………

約束

ぁ………

すぐ、帰ってくるから

…………

それからは悪夢と地獄を合わせたようだった。
人は人を殺す以上に躊躇なく、妖怪に剣を抜いた。


当初は、人とは比較にならない程の力を持つ妖怪が人を圧勝するはずだった。
しかし、予想を上回る人間の士気の高さに戦局は一変。
妖怪軍は逆に人に蹂躙され、女子供関係なく斬り殺された。



あっ………

おっ、いたいた

誰か来た……隠れないと

でも……体が動かない

驚いた。小さな女の子だ

…………

そんな怯えないで。俺は君達の味方だよ

君みたいな娘はこんなところで死んじゃいけない。俺と一緒に行こう

でも……彼が来るのを待たないと………

彼?他に誰かいるのか?

柳っていう、鬼の男の子。周りが安全か見てくるって言って、そのまま………

…………

ここに来る途中、そんな子は見なかったよ

えっ………

とにかく、君だけでも移動しよう。その柳って子も後で探すから

う、うん………

そして、2年が経った――――――――

…………

人と妖怪の戦が激しくなる中
柳の行方は、分からぬまま――――

その刀の先に

すべては あの日に

すべては あの日に

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