唐津と須藤はかく語りき。
唐津と須藤はかく語りき。
神は死んだ……
……
具体的には
夏休みという名の神が昨日死んだ
まあ、今日が始業式だからな
第一話 登校の光景
本日の唐津と須藤
唐津聡(からつ さとし)
県立N高校一年生。
黒色サラサラヘアー、前髪やや長め。
色白、眼鏡あり。
華奢な体格、身長平均程度、成績学年トップクラス、運動苦手。
須藤政信(すどう まさのぶ)
県立N高校一年生。
染めてないこげ茶髪、短髪。
筋肉質な体格、身長平均+5cm、成績中の下。
ただし社会(歴史)だけなぜか得意。
須藤は、ほぼ何も入っていない鞄を担ぐように持ち、隣を歩く唐津を眺めた。
お前は悲しくないのか?
明日からまた毎日毎日
この道を歩く無限ループが始まる
という事実が
今日からだ
悲しいか悲しくないかと聞かれたら
そりゃ悲しいよ
歩くのは疲れる……
せめてセグウェイに乗れたら……
悲しむポイントちげーだろ
唐津がちらりと須藤の顔を見やり、くすりと笑う。
の割には、楽しそうじゃないか
そう見えるか?
ああ
お前こそ楽しそうだけどな
微笑む唐津を同じように須藤がちらりと見やったその時。
不意に何かを思い出した須藤は、担いでいた鞄を脇に抱えるように持ち直し、真剣な表情で唐津に尋ねる。
ときに唐津教授
なんだね、須藤君
今年のレートは
いかほどでありましょうか
一教科につき夕飯一食
デザートで出題難易度に応じた適切な誤答付与のオプションがつく
う……またきめ細かいサービスで
かけている眼鏡をつっと直す唐津。
で、御注文は?
数学と化学と英語
オプション付きでお願いします
承った
須藤はがっくりと肩を落とした。
世知辛い……世知辛い世の中だ
仕方ない
なにしろ神は死んだんだ
そうだな
畜生、一月が三十五日位あれば
こんな宿題位!自力でッ!
やらんだろ
それに、二学期が都合二十日くらい増えるぞ
うっ
それはいかんそれは
八月だけ増やせ
お前はアウグストゥスか
違う!
新世界の神に、俺はなる!
何か混ざってるぞ……
こうして、何事も無く二学期は始まっていくのだった。