榊 ミント

はやく、帰りたいよ

橘 ハヤト

…………

リンコ

ダメだよ

橘 ハヤト

まだ、何も言ってないんだけど

リンコ

私と一緒に逝くことはダメ。
私が稼いだお金は全部……ハヤトのものだから。だからハヤトは私の為に高校に行って、たくさん生きていて欲しいんだよ。私の稼ぎが無駄になる。

橘 ハヤト

………だけど、叔父さんに迷惑がかかる

リンコ

それも大丈夫。
だから、一緒に帰ろう……ママのところに

橘 ハヤト

え?

リンコ

きっと、ハヤトのことを迎えにママがくるから。
私たちが別々に引き取られたのは二人一緒だと生活が苦しくなるから。
だからハヤトが嫌いになったわけじゃないんだよ。

橘 ハヤト

……わかった。姉ちゃんがそう言うなら信じる。母さんのところに、一緒に帰ろう

リンコ

うん

笹 ササミ

カケル!

カケル

な、なんだよ

笹 ササミ

これだけは言わせて。
ハヤトは受験生なんだよ、ゲームに誘うなんて何て子なの?

カケル

え? それを怒るのかよ

笹 ササミ

それと……
ちゃんと生きるから、カケルの分も

カケル

………頼むから、これからは自分の為に生きて欲しい

笹 ササミ

………うん、約束する

カケル

来てくれてありがとう、
探してくれてありがとう

笹 ササミ

まだ別れの時じゃないよ。ちゃんと、父さんや母さんが待ってるから

カケル

…………うん

佐糖 カカオ

いいなぁ、ボクも家族が迎えに来てくれるってシチュエーションだと良かったのに

樹 クルミ

私が見送りますから

佐糖 カカオ

要らないよ、見送りなんて…………そうだ、クルミ

樹 クルミ

はい

佐糖 カカオ

一度しか言わないよ。
君の作品は嫌いじゃなかった

樹 クルミ

佐糖 カカオ

少しだけ、好きだよ。君の作品。

リンコ

ちょっと、嫉妬しちゃうな

佐糖 カカオ

リンコ?
違うよ、これは……浮気じゃないから

梓 アンズ

もしかして、お二人って……

リンコ

恋人同士だよ。
私の写真は彼が撮ってくれたものが一杯あるの。
私はいなくなるけど、歌と写真はこれからもなくならないのよ

橘 ハヤト

…………ちょっと、安心したよ

リンコ

え?

橘 ハヤト

こんな姉だけど、よろしくお願いします

佐糖 カカオ

お、丁寧な弟さんだね。お姉さんは任せてください

リンコ

な、何やっているのよ……

島野 メイ

若いって良いね

神田 カナト

………メイ

島野 メイ

お別れだよ、カナト。
ごめんね、何度もループしたから記憶がおかしくなってるでしょ。

神田 カナト

そんなことはない。
俺はメイと過ごせて嬉しかった

島野 メイ

私もだよ。
夢だったよね、一緒に働くこと。

神田 カナト

再度確認するが、メイは殺されたのだね

島野 メイ

三木キミが子供たちを操っているのを目撃しちゃってね。
だけど彼女からすれば私は数多の従業員の一人で………記憶に残っていなかったらしい。自分で殺したくせに、私の顔を知らなかった

神田 カナト

だから、自分が殺害したはずの君が現れても彼女は動じなかった………か

島野 メイ

私は彼女を殺したかった。
私がカナトを利用すれば、それは容易かった。だけど、そうなっては、誰も私たちを見つけることは出来ない

神田 カナト

君が教えてくれれば、俺はそこに向かったのに

島野 メイ

カナトだけじゃ足りなかったの。彼らが辿り付かなければならなかった

島野 メイ

それに、私が彼女を殺せても……
それはカナトの罪になる。
そんなのは私が赦さない。私の為にカナトが罪人になるなんて嫌だった。

神田 カナト

メイ……

島野 メイ

ループを繰り返すことで、こうしてカナトたちは道を見つけた。
だけど、カナトとハヤトくんには辛い思いを背負わせることになってしまったね。

神田 カナト

確かに俺たちはループ現象で嫌な記憶を得ることになった。
だけど、俺もハヤトくんも強くなれたと思うよ。
ところでループ現象はメイが行っているんだよね

島野 メイ

私もリンコもある人物に手伝って貰ったんだ

神田 カナト

ある人物?

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