謎の変質者に追われてる最中、鈴の音と共に現れたのは昨日会った動物だった。
キミは!
わう
謎の変質者に追われてる最中、鈴の音と共に現れたのは昨日会った動物だった。
わうわう!
え? なに? なにか伝えたいの?
なにか言いたいような顔をしている気がするが、さすがに動物の言葉はわからない。
がうがう!!
きゃっ!
・・・・・・なにが起きたの?
ふう、やっと話せるね
喋った!?
驚かないで。ボクは君の味方だよ
え、どういうこと?
君を変身させたんだ。ちょっと強引だとは思うけど奴らを倒してほしいんだ
え、え・・・? ちょっとまって・・・
目の前の動物が突然人の言葉を喋り、後方には不審者が私を追いかけている。
少し前は時間が繰り返されてるような錯覚を見て・・・・・・
そっか、これ夢なんだ
ちっがーう!
いたっ!
て、あれ?
突然噛みつかれたことによって、視界の端に見えた自分の格好に違和感を感じた。
すぐ横の窓ガラスで確認してみると、なにやら華やかな格好の少女が立っている。
・・・・・・・・・だれ?
もちろん君だよ。ボクが変身させたね
変身ってどういうこと、もういろいろとよくわからなくなってるんだけど
助けを求めてるのが人の言葉を喋る動物なのもおかしなことの一つだが、頼れそうなのはこの動物しかいないのだ。
わかったよ。いろいろと説明する
その前に
―――――!!
―――――!!
あいつらを倒してくれない
どうやらこの動物と喋っているうちに不審者に追いつかれてしまったようだ。
戦うって言ったって、私運動もそんなに得意じゃないのに無理だよ
大丈夫! 変身のおかげで君の力はふつうの人なんかと比べ物にならないくらい強くなってるよ!
勝手に人の体を改造しない・・・・・・まあそれはあとででいいや
―――!? ―――!!
―――! ――――!!
あれ?
さっきは喋っていることが聞こえた気がしたが、今はいきり立っている様子が伝わってくる以外言葉は聞こえない。
さあ! 武器を持ってやつらを倒すんだ!
ぶ、武器って言われても
そこらへんにあるもので大丈夫だから!
そんなこと言われても・・・
あ
忘れものだろうか。誰かのラケットが窓際のロッカーの上に置いてあった。
さあ、それをつかんで!
でもこんなのじゃ
いいから!
言われるがままにそのラケットをつかむと、ラケットが輝き出した。
これでそれは君に合った武器になった
合った武器と言われても・・・
見た目は変わらずただのラケットなので、武器としては心許ない。
そもそも私が戦うなんて
―――!!
さあ早く!
え、えーい!
言われるがままにラケットを振る。怪我をすると危ないので軽い力で振った。なのに
――!?
え?
振ったラケットは不審者に当たった。そして不審者は、はるか後方に飛んだ。
ナイススイング!
え、え? そんなに力入れてないのに
さっきも言ったでしょ。君の力は強くなってるって
あ、あんな飛んでいくなんて思わないでしょ
あの不審者の人は怪我してないだろうか。遠目に見るとピクリとも動いてないように見えるけど。
――――――。
――。
他の不審者が倒れた仲間に駆け寄っていくと、肩をかしながら退散していった。
あの人大丈夫かな・・・
敵の心配なんてしなくていいんだよ
敵かどうかも私はまだわかってないけどいいのだろうか。
そして、目の前の動物は私に向き直った。
さて、邪魔者もいなくなったことだしいろいろ説明していくよ
説明って・・・・・・そうだよ!
わからないことだらけなんだからちゃんと説明して!
短時間にいろいろとありすぎて現状を飲み込むのに少し時間がかかった。この動物からいろいろ聞かなくては。
まず君はループの中に落ちてしまったんだ
る、るーぷ?
そう、ループ。
ここでは時間が繰り返される空間って言ったほうがいいのかな?
あ・・・
繰り返される時間。さっきまで私が感じていたことだ。
ループに落ちてしまうと自力では抜け出せなくなってしまう。しかもループの中にいるという自覚ができないんだ
だから神木ちゃんはわからなかったんだ
でも私が気付いたのはなんで?
それはよくわからない。でも何か素質みたいなものがあったのかもしれない
昨日会ったときその素質に気付いたボクは君を助けに来たんだ
そう、だったんだ・・・
ありがとう
いえいえどういたしまして
でも助けるって言ったってどうやって
そのための変身さ
変身ってこの姿のこと?
そう。その姿ならループの影響も受けなくなる
え? あ、そういえば
そういえば先ほどから時間が繰り返されていない。
変身はボクがいるときにしかできないけど、しちゃいさえすれば自由に動けるし戦えるんだ
戦うって、さっきの人たちと?
そう。あいつらがループの元凶なんだ。あいつらを倒さないとループからは抜け出せない
そんな・・・・・・
でも今の君の力なら簡単さ!
でも話し合いとかそういうことでは解決できないの?
さっきのように戦うと怪我をさせてしまうかもしれない。
あいつらに言葉は通じない。文字通りこちらの言語が通じないんだ
そう、なんだ
そうあいつらは倒すしかないんだ。そうしないとループはなくならないからね
私に手伝えるならやるよ
ありがとう!ボクはデオ!よろしくね
私は永山折羽
こうして私は非日常の中に入り込んでしまった。