落合 美琴

あ……。

 
 
気が付くと私は自分の部屋にいた。
窓の外には朝日が輝き、
澄んだ青い空が広がっている。


スマホで日付と時間を確認してみると、
ディスプレイに表示されていたのは
5月9日の午前7時30分――。
 
 

落合 美琴

や……った……。

落合 美琴

やったぁっ!

 
 
私は時間をループした。
これで翔くんを救うことができる!

――ありがとうございます、神様!


本当は跳び上がって喜びたい。
でも今の私にはそれができない。
なぜなら全身がだるくて
立っているのもつらいくらいだから。



これがループした対価なんだ……。


翔くんはこんな苦しさを
何度も繰り返して、積み重ねて、
最後はあんなことになっちゃったんだね……。
 
 

落合 美琴

でもだからこそ、
これくらいで
負けるわけにはいかない。

 
 
私は気力と体力を振り絞り、
朝食も採らずに家を飛び出した。


ダイニングにいたお父さんとお母さんには
行き先を聞かれたけど、
あとで説明するとだけ伝えておいた。

今は翔くんの無事を確認するのが先だもん。



そのあと、私は……。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
私は翔くんの神社の前に辿り着いた。
そして境内を抜け、住居の方へ向かう。


すると玄関に辿り着いた時、
ちょうど中から翔くんが現れた。
 
 

間部 翔

…………。

落合 美琴

あ……。

 
 
良かった、ちゃんと生きてる!

無事な翔くんの顔を見て、
自然と涙が滲んできてしまった。
前がよく見えない……。


私は目の周りを制服の袖で拭い、
笑顔で翔くんに駆け寄る。
 
 

間部 翔

……ミコ?
こんな朝早くにどうした?
しかもお前がここに来るなんて
何年ぶりかじゃないか?

落合 美琴

翔くん!

 
 
 

 
 
 
私は勢いのまま翔くんの胸の中へ飛び込んだ。

あぁ、翔くんの匂いだ……。
翔くんの体温だ……。
 
 

間部 翔

お、おい?
ミコ、なんで泣いてるんだよ?
何があったんだ?

落合 美琴

んっ!?

間部 翔

っん!?

 
 
私は翔くんにキスをした。

これで翔くんと“2回目のファーストキス”。
すごくドキドキして、気持ちいい。



それから少しして私は翔くんから離れた。
当たり前だけど、
翔くんは戸惑ってるみたい。
 
 

間部 翔

ミ……ミコ……。

落合 美琴

私の話、聞いてくれる?
信じてもらえないかもだけど……。

 
 
神妙な面持ちで翔くんの表情をうかがう。

すると翔くんは微苦笑しながら、
私の額を指で小突いた。
 
 

間部 翔

バーカ。
ミコの話なら信じて聞いてやるに
決まってるだろ?

間部 翔

それに今、全て理解したよ。
記憶が流れ込んできたからな。

落合 美琴

そっか……。
私に記憶が流れてきた時と
同じことが起きたんだ……。

落合 美琴

今までありがとね、翔くんっ!
それと心配かけてゴメン。

間部 翔

好きな子のためなら、
そんなの当たり前のことだ。
気にすんな!

間部 翔

これからは一緒に歩いていこうな?
1人で抱え込むのはダメだからな?

間部 翔

まず今はイジメ問題を
なんとかしないとな。
ミコのおじさんとおばさん、
それと担任に状況を話そう。

落合 美琴

……うんっ!

 
 
私は元気よく、翔くんに返事をした。
 

 



これからもつらいことや苦しいことが
あるかもしれない。
でももう二度とやり直しはできない。



だからこそ、
その時は思い切って相談してみよう。

私の隣にいる、大切な人に!
   
 

 
 
 
終わり
 



 
最後までご覧いただき、
ありがとうございました!
  

?回目 神様たちの裁定

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