真矢

なんとかなるみたいね

記憶が断片的にしか存在していないせいで、授業などに支障がないかを心配していたが、そのような不都合は起きていなかった。
むしろ、生前よりも頭がよくなった様な感じさえしていた。

もっとも、生前の記憶があやふやなので、本当に頭がよくなっていたのかは定かではないが。

麻弓

真矢ちゃ~ん
お花摘みいこ?

休み時間になり、麻弓が真矢に声をかける。
真矢は二つ返事でついていった。

真矢が洗面台で手を洗っていると、麻弓が真矢の後ろに立ち話しかけて来る。

麻弓

真矢ちゃん。
お金かしてくれない?

真矢

え?
私もあんまり持ってないんだけど――

真矢がそういった瞬間、麻弓が真矢を突き飛ばした。

何が起きたのか分からなかった真矢は茫然と麻弓を見つめていた。

麻弓はそんな真矢に詰め寄り、トーンを低くした声で言った。

麻弓

貸してくれるよね?
友達だもんね?

一瞬何が起こっているのか分からなかった真矢もだんだんと自分がどのような状況に置かれているのか理解してきた。

イジメだ。

黙り込む真矢に馬乗りになった麻弓は首を絞めた。

真矢

うっ……ぐ……

麻弓

いい?
明日までに
ちゃんと準備してね……
分かった?

真矢の意識が遠のきかけた時に麻弓は手を離した。
加減が分かっているといった様子だった。

麻弓は去り際によろしくねといい残して去っていった。

真矢

ゲホッ……
なんなの……?あれ……

その後も麻弓からのアクションがあるのかと警戒していたが、そのようなことは無く、むしろ友人のように接してきた。

そのことが余計に真矢の不信感を煽った。

帰りのホームルームでの教師の話を聞き終え、真矢はカバンを持って教室を出る。

その瞬間、強い眩暈が真矢に襲い掛かった

真矢

なっ!
なにこれ!

真矢が目を覚ましたころには、もう見慣れてしまった大広間があった。

ミラ

お帰り
楽しかった?

真矢

楽しかったって……
楽しいわけないでしょ!?
何なのよあれ!

真矢はのんきに訊ねてくるミラに対して詰め寄りながら怒鳴りつけた。

するとミラは真矢をまっすぐに見つめた

ミラ

わかってる?
あれは君がやったことなんだよ?

真矢

えっ……

衝撃的な体験のせいで忘れていたが、あれは真矢のコピーだったのだ。

真矢

私は……生きてる時に……何を……

ミラ

じゃあ、その謎も一緒に解明しに行こうか

上へまいりま~す!

大広間は今まで通りに上へ上へと進んで行った。

To the next floor...

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