俺は、早乙女 麗明(さおとめ れいめい)。
年齢、32歳。
職業、無職。
ねぇ、れ~く~ん!
次はどこに行くの?
私、CLUBに行きた~い!!
いいねぇ~それ!!
決まりだな。よ~し!今日は銀座の有名CLUBでキメるか!!
俺は、早乙女 麗明(さおとめ れいめい)。
年齢、32歳。
職業、無職。
どうして無職で30代に足を突っ込んでる俺が、女子たちを侍らせているかって!?
それは、俺の両親が医者で、総合病院の経営者だからさ。
医大の受験に失敗した俺は、それでも大学だけは卒業しておけと両親に言われ、留年に留年を重ねた挙句、8年の大学最高在籍期間ギリギリで「経営学士」を取得。
そんな訳で、大学ではほとんど遊んで過ごしていたけど「経営の何たるか」位は分かっているつもりだ。
30歳で大学を卒業した俺だが、やりたいことがあるわけでもなく、親の経営する総合病院の経営も順調だったもんだから、一人息子の俺に甘い親をうまく誑かし、この2年間を過ごしてきた。
おっと!外は雨か…
れ~く~ん。いつものようにタクシーで行こうよ~
あたし、雨に濡れるのは嫌だなぁ~
いいよね♪れいくん!!
そうだな!
そんな訳で、タクシーを呼ぶためスマホを手にした、その時…
ちょっと待ってくれ!
着信だ…って、これは…
うちの病院!?
なんでこんな時間に…
もしもし…
もしもし!麗明様ですか?
ああ、俺だ。
あぁ!良かった…
申し訳ありませんが、至急、早乙女病院までお戻り下さい!!
今から!?
もう0時をまわってるんだぞ!!
分かっていますが、至急お戻り下さい…
どうして俺が戻らなきゃならないんだ!!
理事長と院長が…
麗明様のお父上とお母上が、理事会からお戻りになる帰り道で多重玉突き事故に遭われて、今本院で治療を受けられております!!
ですから!!
この瞬間、俺のモラトリアムな生活は、強制的に終止符を打たれたのだった…
Episode1 に続く…