始業式がおわり各自解散となった昼下がりの屋上の上、入ったらいけないことはわかっているがそ俺はとこのトラブルメーカー海斗に連れてこられ特に何もせずボーッとしていた。

楠木海斗

なぁ恋愛ものとかでさよくある曲がり角ゴッツンってさどう思う?

楯山康介

はぁ?

楯山康介

コイツ、珍しく静かだと思えば…なんなんだ曲がり角ゴッツンって

楠木海斗

いや、だからさ、恋愛ものでよくあるヒロインと主人公の出会い方だよ、不自然すぎないか?

楯山康介

まぁ、そうだな

楠木海斗

そもそもパン咥えて走るなよ! 危ないだろ!

楯山康介

ツッコムところそこか?

 子供のころからこいつとは一緒にいるがいまだに思考が読めない、いやむしろ読みたくない。

楠木海斗

実践してみよーぜ

楯山康介

へ?

 昔からそうだ、思いついたら行動する、それがこいつの生き方。俺の勘が俺に告げている今すぐ逃げろと、面倒ごとになると…だが俺はコイツから逃げられない、いつもそうだった。

楯山康介

なんで俺がこんなことを

楠木海斗

いいからアンパン咥えろ

楯山康介

パンまで再現する必要はないだろ

楯山康介

しかも俺がパンってことは俺がヒロイン役ってことだよな

 海斗は俺の言葉を無視し、向こうの曲がり角へ消えていった。今のうちに逃げてやろうか、でも夜に部屋でうざいだけだな。ってかまず誰だこの曲がり角ゴッツンを考えたのは!

楠木海斗

よーし! 行くぞー! よーいどん!

楯山康介

こうなったらやってやる!

 パンを咥え、真っ直ぐ廊下の曲がり角まで走り出す、計算ではちょうどT字の中心でぶつかる計算だ。

楠木海斗

いてて…

楯山康介

はぁ…はぁ…これで、満足か?

 物を咥えながら走るって想像以上にしんどいな、よくこんな状態で『チコクチコク』なんていえるよ。

楠木海斗

ぜんっっっっぜんダメだ!

楯山康介

なんでだよ、ちゃんとぶつかっただろ

楠木海斗

まず、どこのヒロインが『やってやる』って言いながら走ってくる!

楯山康介

そこかよ!

 本当になんなんだこいつは、どこまで忠実再現させるつもりだ、俺は美少女ヒロインでも何でもないぞただのメガネだぞ。

楠木海斗

ほらジャムパン食べて定位置に着く!

楯山康介

まだパンか…おっマンゴージャムだ

楯山康介

期間限定の味を渡しやがって、変なところで気を遣うなよ

楠木海斗

よーし、行くぞー! よーいどん!

楯山康介

うわーちこくちこくー

楠木海斗

全然だめじゃねーか! もっと感情込めろよ! 真心を! 真心!

楯山康介

もうそこはどうでもいいだろ

楠木海斗

ほら早くシュークリーム咥えて定位置に着く!

楯山康介

もうパンですらねーよ、スイーツだよ

楠木海斗

よーいどん

楯山康介

うわー! 遅刻遅刻~!

楠木海斗

もっと女の子らしい声出せよ!

楯山康介

そこは仕方ないだろ!

 コイツ、本当に何がしたいんだよ、もうお腹いっぱいだよ。

楠木海斗

ほらアップルパイ咥えて定位置に――

楯山康介

お前が食ってろ!

楠木海斗

ボハラッ!

 アップルパオを渾身のフルパワーで顔面にぶつける、こうでもしないと俺の気が収まらない。

楯山康介

目が覚めたか?

楠木海斗

え…あ、はい

 まき散らしたアップルパイの処理と海斗への説教を含め時刻は夕方になってきたので寮へ戻るべくこの馬鹿と一緒に歩いてる

楠木海斗

やっぱりさ、あの出会い方は間違っている

楯山康介

まだいうか

楠木海斗

朝にパンってのが気にくわない

楯山康介

それは個人の自由なんだからいいだろ

 もしやこのパターンはほかの食べ物を食べながら走ら荒れるパターンか? それなら何としても阻止しなくては。

楠木海斗

やっぱりジャパニーズたるもの朝は米だろ

楯山康介

そこで英語を使うのか

楠木海斗

細かいことはいいんだよ、早速お米食べながらはし――

楯山康介

礼儀がなってない!

楠木海斗

ごもっとも!

 先手必勝、相手が行動に移る前に頭を叩く、何としても阻止する、俺のために。

楠木海斗

じゃあ! ふりかけつけるから!

楯山康介

そういう問題じゃない

 バカか? バカなのかこいつ?

楠木海斗

……

 バカだ! バカだったよコイツ!

楠木海斗

味噌汁!

楯山康介

飲まない

楠木海斗

今なら卵焼きも!

楯山康介

つけない

楠木海斗

だったらお前の望みは何なんだ!

楯山康介

何もいらないから休ませてくれ!

楯山康介

こうなったら秘密兵器のアイツを呼ぶしかない

楯山康介

あ、もしもし? うん、ちょっと来てくれるか? たのむ

~数分後~

木梨空空

フフフ…まさか康介が我の力を頼るとはな

楯山康介

今回はマジで頼む

木梨空空

任せろ

 木梨空空、数多くの漫画を読破し数多くのアニメを評価してきた豪森ボーイズ一のヲタク。本人はまだその領域に到達していないと言い張るがその知識は確かなものだ。

楠木海斗

お、キナッシ―じゃんちょうどよかった、食パン曲がり角少女の事どう思う?

楯山康介

いつの間にそんな変なあだ名がついたんだ

木梨空空

フム…我も数多くの同志たちとその話題について語り合ってきた…結論から言おう、そのパターンはテンプレと思われがちだが実用例は少ない! ネタとして使用されるのが多いな…そして何よりメガネを外すと美人だったパターンは現実に持ち込むな! 後悔するぞ!

楠木海斗

な、なんだって!!

楯山康介

流石はソラだ、俺にない知識を持っている。それにしても最後の情報要るか?

木梨空空

だが、一度は曲がり角を体験したいものだな

楠木海斗

だったら今からやろうぜ!

木梨空空

フハハハ! よかろうその茶番に付き合ってやる!

楠木海斗

じゃあ早速このパンを咥えろ

木梨空空

拒否する! 咥えたければお前が咥えろ! 我は女役をするつもりはない!

楠木海斗

それこそお断りだ! 俺のプライドにかけてパンは咥えない!

 なにこれ、パンを咥えた俺がプライド無いみたいになってるじゃん……まぁいいやも戻って寝よ。

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