高校二年生、長い人生の中でほんの僅かな三年間のど真ん中、一番自由にバカ出来る時期、そしてアニメや漫画では主人公がヒロインと仲良くなることが多い時期。
 そんな時期に俺はついにたどり着いた。

楠木海斗

フッここから俺の壮大なイチャラブメモリーが始まるのか

楯山康介

いや、ここ男子校だぞ

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 山の頂上に大きくそびえ立つ校舎、私立豪森高等学校はれっきとした伝統ある男子校だ、名前を変えながら経営をし続けてきたこの学校の外観は塗り替えたペンキの跡すらアジになる中々いい見た目。
 今は桜が満開になる季節らしいが周りには杉の木がメインで桜がチラホラしかなくあまりそんな感じがしない、そんな始業式。

楯山康介

ふぁ~寮があるからって春休みまで俺を巻き込むな

楠木海斗

仕方ないだろ? 俺は家に帰ると寂しくて死んじゃうんだモンッ!

 俺と一緒に寮から体育館へ向かうのは同じ寮の同じ部屋に住んでいる友人一号の楯山康介(たてやまこうすけ)。
 春休みは家に帰る予定だったらしいが俺が寮に引き留めて昨日も夜中まではしゃいだ。

楯山康介

何が『だモンッ』だ、ウサギかお前は

木梨空空

ハハハフッフフ…やはり我らはまた一つになる定めそう! つまり運命! まさにデステニー!

楠木海斗

こ、この声はキナッシ―!

 木梨空空(きなしそらあき)自他ともに認めるアニメ漫画好き、電子機器の操作ではこの学園内の生徒では右に出る者はいないと言われてるほどのゲーム好き、俺の友人二号だ。

柳遥

僕もいるよー

荒茂大樹

俺もいる……

楯山康介

遥と大樹もいたのか

 柳遥(やなぎはるか)、学年の中で断トツで背が小さく子供みたいでかわいらしい奴、男子校の中でも数少ない癒し、俺は男子校一年目のラストに本気で惚れかけた、その時に殴られて目が覚めた。
 そして遥を背負いながら歩いているのが俺を殴った奴で、学年で断トツで背が高くてみんなの兄貴みたいな存在の荒茂大樹(あらしげだいき)、少し目つきが悪くて怖がられがちだがいいやつだ、そして無口ではないが口数が少ない。俺たちの中でも力仕事係だ。

楯山康介

で、そのまた一つになるって何のことだ?

柳遥

クラス替え発表見てないの? 僕たちまた一緒のクラスなんだよ

楠木海斗

マジかよ! やったぜ!

 今から見に行くドキドキ感こそなくなったけどこいつらとまた一緒のクラスの事実の方がうれしい。

楠木海斗

よし、みんな揃ったところでアレをするぞ!

柳遥

イエッサー!

木梨空空

フッ仕方ない久々に付き合ってやろう

荒茂大樹

……

楯山康介

俺はやらんぞ

 さて、意味の分からない事を言っている奴はほっておいて五人が一列に並び道のど真ん中でそれぞれがポーズを構える。

楯山康介

だから、さりげなく列に居れてもやらないから

 そしてこれが俺がアクションものの映画を見て編み出した恒例のアレだ!

楠木海斗

こうは何の日だ~?

柳遥

始業式でーす

楠木海斗

つまりどういうことだ?

木梨空空

我々がこの地に集まって二年目に入った証、つまり! 自由に近づいた証!

楠木海斗

なら俺たちがすることはなんだ!

荒茂大樹

今を…楽しむ

楠木海斗

ウィーアー!?

柳遥

豪森ボーイズ!

木梨空空

豪森ボーイズ!

荒茂大樹

豪森ボーイズ

楠木海斗

やることはただ一つこの一年を楽しむぞ!

柳遥

オ―!

木梨空空

オー!

荒茂大樹

オ―

 決まった…まさに快感、俺たち豪森ボーイズの始まりはこの掛け合いから始まる…しかし気にくわない。

楠木海斗

おいそこのすましメガネ、俺たちの結束に儀式だぞ、なにボーッと突っ立ってんだよ

楯山康介

高二になってまでそんなことをするお前たちの脳の構造が知りたい…第一お前はいつになった成長するんだ!

楠木海斗

俺はいつまでたっても俺のままだ!

楯山康介

お前は最初っからぶっ飛びすぎだ、だから人に初対面で避けられるんだ

柳遥

いつもの二人だねー

荒茂大樹

そうだな

木梨空空

我らは先に教室へ行くとするか

 この後めっちゃ先生に怒られた

【プロローグ】五人の男

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