催眠術師

いらっしゃい
大変でしたね。

できることはこれくらいですが

さぁ、どうぞ
準備は出来てますので


それは気を使うよな…

ぼくは軽く会釈をすると

席につき

催眠状態に…


そこには

あのときみた

はなばたけがどこまでもつづいている


そこには


むすめとおくさんが

えがおでこちらをみている



ぼくはそこにむかって


はしる

ただ


はしる




でも



そこへはいつまでもたどりつけない




ぼくがちかづくたび


ふたりはおなじスピードで
とおざかっていく





こえをだそうにもでない



いつになったらあそこへいけるのだろう



そんなことばっかりかんがえる


でも


かのじょたちは

ぼくにむかって


こうつぶやく



きっとまたであえるから
もうすこし

もうすこしだけがんばって


やくそくして
ぜったいはやまったまねはしないって



まってて

もうすこしだけ

もう

すこしだけ…

はい。気分はどうですか??

催眠術師

少しすっきりされた顔されてますね。

いつでも協力します

つらくなったらここにきてください。

まず一回目どうでしたか??
これは脳内麻薬を利用するものではないので
副作用はないので安心してください。

ありがとうございました

またおせわになります。

いつもあそこで目が覚めるんだ


もう会えることもないのに

なんであんなことを


自分はまだ失ったと

理解したくない

そんな防衛本能でも働いているのかな?


時計をみてみる。


ものの15分くらいのものだった

実際あの世界の中では

何時間にも感じられた


でもやっぱり現実ではこんなものだ。


ぼくはまたいつものようにここを後にして


家にかえる。

そう

いつものように

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