パソコン部の主な活動場所であるパソコン室には珍しくキーボードの音だけが響いていた
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……
パソコン部の主な活動場所であるパソコン室には珍しくキーボードの音だけが響いていた
椿、今日は雑談してこないんだね
ん?
あぁ……まぁな……
どうしたんだい?
元気が取り柄……じゃ無くて、元気以外何もない椿が元気ないなんて
それ言い直す必要あったか?
椿が呆れ顔で言い返す。
少し表情に晴れやかさが戻った気がしなくもないが、はやり、いつもに比べると元気はない
何か悩み?
ん~
まぁいつかは言わないといけないことだからな……
そう言って椿は壮太の眼を正面から見つめた
実は俺……今月末で引っ越すんだよ……
え?
あまりに突然の告白に壮太の思考は完全に停止した。
当たり前に今まであった日常
ずっとあると思っていた日常
それがなくなっていくような音がした
引っ越しって……
俺も昨日聞いたんだよ……
そうなんだね……
二人の間に気まずい沈黙が流れる
静寂を破るように椿が声を上げた
なんてな!
は?
壮太は目を丸くした
目の前にはニヤニヤした椿がいるだけだ
ちょっとしたドッキリだよ!
びっくりした?
まぁでもいつかは俺らも別れるときが来るからなぁ
……
……壮太……?
本気で……びっくりしたんだよ……?
壮太が思いのほか沈んだ顔をしているのをみて椿はさすがにまずいと思った。
わ、悪かったよ……
ただ、いつか離れることになったらどうなるんだろうな?って話がしたかっただけなんだ……
壮太は椿に向かって神妙な面持ちで話を始めた
椿が……引っ越すってなって離れ離れになるなら……言わなきゃと思ってたんだ……
何か言わないといけないことがあんのか?
うん……この際だから言うよ
椿……君のことが好きなんだよ……
椿の脳内を大量のクエスチョンマークが埋め尽くした
す、好きって……LIKEのこと?
壮太はゆっくり首を横に振った
ら、LOVEのこと?
壮太はゆっくり頷く
え?
嘘?
は?
え?
1文字以上の文がしゃべれない体になった椿の脳内は完全にショートしていた。
ほ……本気で言ってるのか?
椿の問いかけに壮太はゆっくりと一度俯いて、またゆっくりと顔を上げていった
嘘
二人の日常は、日常のまま続くことになりそうだ……