ダリア・ブルートシュタイン

シャムロックは!シャムロックはどこに行きましたの!?

す、すみません……。見失ってしまったようです

ダリア・ブルートシュタイン

この大バカ者!!

ローテ

ダリア様!一体何を!!

ダリア・ブルートシュタイン

何が「見失った」ですか!!これだけ軍も巻き込んでキーファーまで借りたというのに!もしお父さまに知れたら……

何が知られたら困るのかな、ダリア?

ダリア・ブルートシュタイン

あっ…………

ローテ

……プルートシュタイン殿下

パルメ・プルートシュタイン

やあ、ローテ殿だったかな?見回りの最中かい?

ローテ

…………ええ、まぁ

パルメ・プルートシュタイン

そうかそうか。だがもう遅いし、君達は早く休みなさい。私が許可しよう

ローテ

いえ、しかし……

パルメ・プルートシュタイン

それとも、私が宿舎まで送っていこうか?

ローテ

い、いえ!滅相もない!!

パルメ・プルートシュタイン

はっはっは!冗談だ。気を付けて帰りたまえよ、最近は賊が出回ってるらしいからな!

ローテ

…………失礼します

パルメ・プルートシュタイン

ダリアは、私と一緒に来なさい

ダリア・ブルートシュタイン

…………はい

ダリア・ブルートシュタイン

お父さま……私はただ……

パルメ・プルートシュタイン

黙れ。泣き言など聞きたくはない

パルメ・プルートシュタイン

まさか、自分のしたことが分からないわけではあるまい?これだけの軍も動かして、何をしていたんだ?

ダリア・ブルートシュタイン

…………これですわ

パルメ・プルートシュタイン

怪盗……シャムロック

ダリア・ブルートシュタイン

お父さまの耳に届いているでしょう?近頃貴族の宝石を盗み続ける盗賊のことを

ダリア・ブルートシュタイン

私はそれを捕まえたかったのです。蛮行を続ける卑しい賊めを!

パルメ・プルートシュタイン

…………捕まえて、どうするつもりだ?

ダリア・ブルートシュタイン

え?勿論しかるべき所に突き出して…………

パルメ・プルートシュタイン

エーデルシュタイン家か?

ダリア・ブルートシュタイン

…………どうしてそれを?

パルメ・プルートシュタイン

お前の部屋を見させてもらった。ご丁寧に机の上に置いてあったからな。一瞬で分かってしまった

ダリア・ブルートシュタイン

ならばお分かりでしょう!エーデルシュタイン家の養子が、クリエ・エーデルシュタインこそが怪盗シャムロックなのです!一刻も早く奴を捕らえないと……

パルメ・プルートシュタイン

…………ダリア。私から言えることはひとつだけだ

パルメ・プルートシュタイン

忘れなさい

ダリア・ブルートシュタイン

えっ……

パルメ・プルートシュタイン

考えてもみなさい。仮に怪盗シャムロックを捕らえてエーデルシュタイン家に突き出したところで、認めるはずがないだろう。この国で最も権力を持つ貴族だ。簡単にもみ消すだろうさ

パルメ・プルートシュタイン

あまりエーデルシュタイン家を刺激してくれるな。怪盗シャムロックのことは忘れなさい。いいね?

ダリア・ブルートシュタイン

そんな!納得できるはずありませんわ!!そもそも――――

パルメ・プルートシュタイン

くどいぞ。お前の個人的な恨みで我がプルートシュタイン家を脅かすなといってるのが、まだ分からんのか!

ダリア・ブルートシュタイン

……………………

ダリア・ブルートシュタイン

……おやすみなさい、お父さま

パルメ・プルートシュタイン

ああ。お休み、ダリア

ダリア・ブルートシュタイン

悔しい……

ダリア・ブルートシュタイン

ここまで追い詰めたというのに……なのに忘れろなんて、悔しいに決まってます

ダリア・ブルートシュタイン

宝石も盗まれてしまったし、もう私に手は残っていません……。けど、まだきっと方法が……

夜更かしは感心しないね、お嬢さん

ダリア・ブルートシュタイン

えっ――――

ダリア・ブルートシュタイン

きゃっ……!

ヴァルネス

悪いけど、今日の記憶は消させてもらったよ

ヴァルネス

君はあの時、神の実験成果を間近で見れたんだ。もう消しちゃったけどね

ヴァルネス

君に怪盗シャムロックの正体を覚えてもらわれるとこちらも困る。今度こそ、お休みなさい、ダリア・ブルートシュタイン…………

パルメ・プルートシュタイン

……随分と荒らしてくれたようだな

パルメ・プルートシュタイン

まったく、とんだじゃじゃ馬娘だ。そう思わないかね?

カイメン

……………………

パルメ・プルートシュタイン

まったく、本物の宝石をおとりに使うとは……。我がプルートシュタイン家の象徴だというのに

カイメン

ク……クリ……エ…………

カイメン

クリ……エ……ニゲレタ……ノ?

パルメ・プルートシュタイン

しかし、この無鉄砲さは誰に似たのだか。こんなおぞましい者まで使うなんて

カイメン

マッテテ……

カイメン

ボクモ……ムカ……ウ……カラ

カイメン

ヤクソ……ク……シタカラ

カイメン

イキテ……マタ……アウッテ………

パルメ・プルートシュタイン

………そして若者よ。君は誇りに思いなさい

パルメ・プルートシュタイン

このパルメ・プルートシュタインの手によって散れることをな

カイメン

クリ……エ……ネエ――――

19ct  そして忘却の彼方へ

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