とある日曜日。灼は悟とのデートの待ち合わせのために待ち合わせの駅前に来ていた

ごめん悟!待った?

時計の針は12時半を指していた。
待ち合わせの時間は12時であったことを考えるとかなりの遅刻である。

そうだね。まぁ待ったかな?

あっさりとした口調で悟が言う。
その声からは心配や怒りといった灼の行動に対しての感情がほとんど感じられない。

そ、それだけ?

あまりの反応に灼はかえって不安になる。
しかし、悟の口調は変わることがない

まぁ、それだけかな?

怒ったりしないの?

まぁ過ぎたことは仕方ないしね
ほら行こうか

そう言って悟は灼の手を引いた。
あまりに突然手を引かれたためか、灼の顔はリンゴのように赤く染まった

ねぇ悟……
無駄だと思って聞いてみるけど、何か変わったことに気がつかない?

さあな
さっぱりわからん

髪切ったんだけど……

そうなのか?

……本気で言ってる?

灼は冷めた目で悟を見る
世の中の男性の中には女性の髪型の変化に疎い人は一定数存在する。
しかし、この鈍倉悟という人間は、その点において群を抜いていた。

15cmくらいバッサリ切ったんだよ!?
前は肩まであったよ!?
本気で言ってるの!?

そうだったんだ

しかも反応それだけ?
可愛いよとか似合ってるよとか無いの?

別に言う必要ないんじゃないか?
灼はいつも可愛いし、どんな髪型でも似合うだろ?

平気な顔をして悟が言い放つ

なっ!?

鈍倉悟。
彼は鈍感である。

髪を切っても気がつかない
相手が恥ずかしがることにも気がつかない

そんな困った鈍感彼氏である

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