急げ!!出入口をふさげ!!
ダリア様、封鎖完了しました
見事な手際ですわ、ローテ様!
……恐縮です
さて、お久しぶりですわね、クリエ様
…………っ!
キーファーさん、少し手を緩めて差し上げて
…………
……ゴホッ!ゴホッ!
なんという力だ……いくら少女とはいえ、片手で持ち上げるとは……
素晴らしいパワーでしょう?わざわざ借りた甲斐があったというもの!
おかげで、私はこうしてお話しできる……
憎きエーデルシュタインと!!
…………っ
ダリア様、さっきから何を言っておいでですか。怪盗シャムロックがエーデルシュタイン家の者だというのですか
ええ。その通りです
ローテ様はクネート・グミという孤児院をご存知ですか?
…………っ!!
…………
はぁ……昔の資料で拝見したことは。あの頃、私はまだ見習いだったので参加してはいませんが
その中に、人物の名前は何人出てきますか?容疑者であるホルテンジーを除いてです
……隊を指揮した隊長の名前と責任者の名前。いずれも騎士ですが
では、その資料は改ざんされていますわね
……どういうことですか
…………っ
その時の隊を率いていたのは騎士ではありません。貴族です。しかも、この国で最も権力を持った貴族
名前はナルシス・エーデルシュタイン
エーデルシュタインですって!?
その時、ナルシス卿は自ら隊を率いてクネート・グミ孤児院に押し入り、ホルテンジーを逮捕。その後、エーデルシュタイン家の金がかなり大規模に動いています
ここで疑問に思うのは、ホルテンジーが捕まった後、孤児院の子供たちはどうなってしまったのか。このエーデルシュタイン家の金の動きを見れば、おおよその見当は付きます
エーデルシュタイン家は、孤児院の子供たちを買ったんです!そして、自分たちの庇護下にある保育院に預けた!わざわざ以前から通っていた貴族の子供を弾き出してまで!!
……………………
そして、ナルシス卿は孤児院の子供たちの中で気に入った子を無理矢理家系に加えたんです!それが貴方でしょう!クリエ・エーデルシュタイン!!
怪盗シャムロックが……エーデルシュタイン家の養子だと……!
もしかして、ダリア様はそのハブられた中の……?
なんて馬鹿な方なの!!我がプルートシュタイン家は、エーデルシュタイン家に次ぐ権力を持つ由緒正しき家柄!エーデルシュタイン家の蛮行に脅かされるわけがありません!!
……お前はもうしゃべるな
す、すみません…………
優先的に弾き出されたのは、やはり下級貴族の方々。もしくは、エーデルシュタイン家に多大な恩を受けている貴族の御子息たち
その中に、私の友人もいたんです。下級貴族の一人だった彼女のお父さまは貴族の誇りを胸にエーデルシュタイン家に抗議し、追放されました
そんなことが……っ
追放された彼女とその家族は、どこか遠くの国で生きているという噂は聞きました。ですが、彼女たちを追放したエーデルシュタイン家を許すことは決してできない
その原因となった、クネート・グミ孤児院の子供達も、絶対に許せないんです!!
……………………
…………