沖縄心霊体験
ー其の五ー











「そっ、それどうしたんだよ!?」





私の携帯を持つ腕を指差しながら、同泊者達に震えた声でそう言われたあと…




カズリー

何を言ってるんだ?
この人達は…







と、自分の右手首に目をやると、変なアザができていた。













カズリー

あちゃ~、どっかにぶつけたか?








と思い、よーく見てみると…







何かがおかしい。







手首を横切るように引かれているアザ。

























それは人の手形そのものだった。









瞬間、周囲から上がる悲鳴。














私は完全に思考停止した。
















とりあえず、簡易的な除霊として、外に出て全身に塩を振りまいた。






しかしアザは消えない。







怖くなった私は持っていたタオルで手首をぐるぐる巻きにして、その手形を隠した。












そしてそのまま部屋に戻り、眠れぬ一夜を過ごした。


























眠れぬまま空が白みだしてきたので、私は出かけることにした。








行き先は斎場御嶽(せーふぁーうたき)だ。









数日前、辺戸岬(沖縄の最北端)で出会った方に、沖縄で一番神聖な場所だと聞かされていた。






そこには祈祷所のような場所が数か所あり、そこを順序を守り巡ると心身共に浄化されるのだとか。






正直そんなことは信じていなかったのだが、藁にもすがる思いで向かったのであった。















皮肉なことに、斎場御嶽は昨日訪れたアブチラガマから30分ほどしか離れていない場所にあった。







到着するも、まだ開門前でしばらく待つことに。







この間も右腕にタオルは巻かれたままであった。
















そして開門と同時に拝所を順に回っていく。






しかしこの斎場御嶽。






神聖な場所の空気というよりも、何か別のものを感じる。






以前同じような空気をどこかで感じたことがある私。











…………………







答えは程なく出た。












カズリー

恐山だ。

カズリー

青森の霊場「恐山」と空気が似ているんだ。















何か霊的な雰囲気を感じつつ、ウフグーイ、ユインチ、サングーイと順に回り、それぞれの場所で戦没者の冥福を祈っていった。








しかし、全てを回り終えたところで突然気分が優れなくなり、よろよろと斎場御嶽をあとにした。










気分は優れないまま、すぐそばの垣花渡川(かきのはなひーじゃ)で休憩をとることに。






















眼下に広がる青い海。






そこにひっそりとある100名水にも選ばれた澄んだ水で顔を洗い、一息つくと右腕のことを思いだした。









恐る恐るタオルを外すと………







































右手首にしっかりとついていた手形は、跡形もなく消え去っていたのであった。









私は目の前に広がる青い海に向かい、改めて手を合わせるのであった。












ー完ー














※戦跡巡りは、場所によっては本当に冗談では済まされない場所があります。




霊感の強い人、または少し疲れている人は訪れるのはやめてください。




ちなみに私が巡ったときは、長旅で霊感が一時的に強まっていたのと、疲れが出ていたときでした。




ここで登場した斎場御嶽は、基本男子禁制だそうです。
ここを訪れたからといって、除霊や浄化される確証はありませんのでご了承ください。











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