放課後。
高校1年の矢津 誠一郎(やづ せいいちろう)は
1年上の先輩である新島 椿(にいじま つばき)に屋上呼び出しをくらった。
放課後。
高校1年の矢津 誠一郎(やづ せいいちろう)は
1年上の先輩である新島 椿(にいじま つばき)に屋上呼び出しをくらった。
そして彼から紙袋を1つ手渡された。
茶色い袋の中には何か柔らかいものが入っているようだったが・・・・・・。
椿ちゃ・・・・・・センパイからの呼びだしってめずらしーっすよね~!
何スかこれ・・・・・・?食い物?
今はまだ開けない方がいい。
その中身を見る前に知り合いが作った人形について話してやろう。
え~・・・・・・?
怖い話っスか~?
この中身ってもしかして人形なんじゃないのぉ?
先日、部活の帰り道で偶然知り合いに会った。
その時に聞いた話だ・・・・・・。
あ、だめだこれ。
話を最後まで聞かねえとおわらねえやつだぁ~~。
この紙袋ぜったい人形入ってっし~!
あとで捨てよ・・・・・・。
知り合いの名は伏せておく。
仮にA子としよう。
え! 女?
女なんスか?
俺に紹介してくださいよ~~!
こないだ二股かけてんの両方にバレてヒマなんで~!
女性をもてあそぶような奴に紹介すると思うか・・・・・・?
まあいい。
そのA子は最近人形を作っているようで、俺もいくつか見せてもらったんだ。
誠一郎が椿の見せてきた画面を覗き込むとそこには不気味な毛玉がいくつかあった。
全てそのA子が作ったものらしい。
何なんスかこのゴミ・・・・・・。
ゴミじゃない!
A子が心を込めて作った作品だ!
こういった作品を自由な発想で作っていたA子だったがある日、きちんと作品の設計図を作ろうと思ったそうだ。
はあ・・・・・・?
ゴミ、じゃねーや作品の設計図ねぇ~。
そんなのより俺はA子ちゃんの写真が見たいんスけど~。
・・・・・・そしてできた設計図がこれだ。
ウワッ! キモッ!
肉まんのオバケ?
もうこの画像だけでのろわれそ~!
そうか?
可愛い鳥だと思うんだけどな・・・・・・。
鳥・・・・・・?
鳥なのこれ・・・・・・?
そしてA子はこの設計図に更に改良を加えたんだ。
向上心の塊だな!
俺も見習おう。
え~~?
ど~やってもキモくなるよーな気がするんスけど・・・・・・。
もー俺、不安しかないや~。
でも気になるんでいちおー見せてくださいよ。
軽い気持ちで設計図を見せてもらった誠一郎は、その後 後悔することになった・・・・・・。
・・・・・・キモい。
ふむ。
目の部分をパーツ分けしたんだな!
なかなか細かい作業だ。
番号が振ってあるのはこの順番に作るという事か・・・・・・?
設計図どおりに作れてもそうじゃなくてもどのみちヤベエ・・・・・・。
そしてA子が丹精込めて作ったものがその中に入っている。
俺もまだ見ていないがきっと素晴らしいものだろう。
も~!
変なのもらっちゃダメでしょセンパイ!
こんなの1人で見て下さいよ~~!
お前もたまには感動することを覚えろ。
感動は人を成長させてくれるものだ。
よけーなお世話っス~~。
まあいいや開けてみますよ~?
袋を開けた瞬間、その中身は宙を舞う。
そのまま下へ落ちる人形。
そして屋上には誠一郎の絶叫と、小さくなってゆく人形を見送る椿の姿だけが残ったのだった。