同日 昼前

安土城 城門前

織田信長

しかと役目を果たすよう

長谷川秀一

はっ!

徳川家康

いやぁ、先輩、案内とか良いですってw

織田信長

良い。秀一には我が裁量を与えておる。道中難儀がないよう言って聞かせておる。なんでも申し付けよ

徳川家康

先輩が魔王モードだw

織田信長

ちょ、お前、茶化すなよ!笑うw

織田信長

竹、家康をくれぐれも頼むぞ

長谷川秀一

はい、上様!上様も、どうかご武運を!戻られたら、お相手してくださいね…最近おそばに侍るのは蘭丸ばかりで、竹は寂しく存じます///

織田信長

あ、う、うん…わかったわかった

徳川家康

んじゃま、世話になりました

キリッ

織田信長

苦しゅうない

徳川家康

あとで京都来るんすよね?またそんときにでも顔出しますわ

織田信長

うむ

徳川家康

よぉーし、行くぞ!

家康家臣

はっ!

本多忠勝

いやぁ、しかし別格のもてなしでござったなぁ!

酒井忠次

ふん、主は油断しすぎじゃ!我らがなぜ共についたか、忘れたわけではあるまい!?

本多忠勝

がはは!安土様が我が殿を討とうなどとするはずはなかろう!

酒井忠次

まぁ、それもそうだな!がははは!

榊原康政

まったく…脳筋どもはこれだからいけませんね

井伊直政

誠だな。いい加減、考えをめぐらすということを覚えた方が良い

徳川家康

まぁーまぁー、お前ら、喧嘩すんなって!あれはほら、光秀殿のぷろでゅーすだから!

井伊直政

殿も殿です!その話そのものが織田家のたくらみかもしれぬと思われなんだか?

徳川家康

えー?でもほら、俺、先輩とはチビのときからの仲だし

榊原康政

親兄弟を討ってでも名を上げるのが戦国の世でありますぞ。ゆめゆめ、油断召されるな

徳川家康

心配しすぎっしょ?先輩に限ってそれはないない!むしろ光秀殿の方が何考えてるかわかんないから怖いけどwww

石川数正

…殿はあきれたお方だ…我々の身にもなっていただきたい

長谷川秀一

お、お言葉ですが!上様はそのようなお考えは持ち合わせておりませぬ!

本多忠勝

ふむ、お主は確か、安土様の小姓であったな?

長谷川秀一

はい、忠勝様

本多忠勝

では聞かせてはくれまいか?安土様はいかなるお人か

長谷川秀一

上様は…えぇっと、その…す、すごく、大きいです…///

井伊直政

いやそうじゃなくて

長谷川秀一

あと…そうですね…乱れ牡丹や、うしろやぐらがお好きです///

本多忠勝

な、なんと!

酒井忠次

背後から一突きとは、武士にあるまじき…い、いや、しかし…床でのことであるのならそれもまた…

本多忠勝

魔王信長殿であれば、そのような奇襲も見事に成し遂げるではないか?

長谷川秀一

忠勝様に忠次様は、どのようなものがお好みで?

本多忠勝

うむ、俺はやはり燕返しや吊り橋だな!正面からでなければならん!

酒井忠次

悪くはないが…ありきたりだな。帆かけ茶臼や締め小股の方が城門を突き崩す勢いがあって良いものだ

井伊直政

お主らはいったいなんの話をしておるのだ!武士ならば鵯越の逆落としに興を見出さずしてどうする!

榊原康政

直政どの、そっち行っちゃダメ。我々は知的に諭していくのが役割だから

本多忠勝

殿!殿はいかがでございますか?!

徳川家康

えー、俺?俺は自分でするのがめんどうだから、流鏑馬一択かなぁ…

酒井忠次

な、なんと!

本多忠勝

なりませんぞ殿!

井伊直政

殿ほどのお方が馬になるなど!たたかれるんですか?!尻をムチでたたかれるんでございますか!?

榊原康政

直政どの、落ち着いて。今、拙者、直政どのに一番引いてますから

本多忠勝

あれ、そういえば服部の姿が見えぬな?

酒井忠次

うむ?あぁ、確かに…

徳川家康

あー、半蔵なら先に堺に向かわせたよ

酒井忠次

なんと?下見でございますか?

徳川家康

なんだか甲賀衆が動いているらしくってね。念のために、堺に先入りして、危険がないかどうか調べてもらってる

本多忠勝

そうでござったか…殿、申していただければ某が拝命仕ったのに

井伊直政

忠勝殿に調べものとか無理でござろう

石川数正

うむ、間違いござらんな

本多忠勝

なにおう!?貴殿ら、それほどに我が蜻蛉切のサビとなりたいか!

酒井忠次

はしゃぐな忠勝。お主、声でかいんだから馬が驚く

本多忠勝

くぅ…ま、まぁ良い。して、安土殿のお人柄、だ

長谷川秀一

あぁ、はい。上様はお優しい方ですよ。もちろん、戦ともなれば容赦はありませんが…家臣郎党、皆、上様に大切にしていただいています

酒井忠次

にわかには信じがたいのぅ

長谷川秀一

そうですね…姉川の合戦をご存知でしょうか?

本多忠勝

ふむ、浅井・朝倉を討った戦じゃな

長谷川秀一

はい。当初上様は、浅井朝倉ともに討つつもりはございませんでした。しかし、そんな折、浅井に嫁がれたお市様より密書が届きました

井伊直政

密書とな?

長谷川秀一

はい、直政様。密書にはこうありました。『お市は、小谷様より、人とも思えぬ扱いを受けておりまする』

井伊直政

なんと…!

本多忠勝

ん?それはどういう意味じゃ?

榊原康政

狼藉を働かれていたと?

長谷川秀一

その通りでございます。お市様は、浅井様よりでぃーぶいをお受けになっておられたようです

酒井忠次

でぃーぶいと!?それは許されぬな…

長谷川秀一

密書をお読みになった上様はたいそうお怒りになり、浅井朝倉への挙兵と相成りました

徳川家康

あー、なんかその話聞いた気がするなぁ。先輩、お市殿と三姉妹にデレデレだったし、そりゃぁ怒るよね

本多忠勝

では、誠のことであると?

井伊直政

しかし、それでは光秀様はなぜ信長様がかのような傍若無人の振る舞いをすると喧伝しておられるのだ?

長谷川秀一

きっと、上様をお守りする意図があるのだと思います。そのようなお人柄であると思えば、やすやすと戦を挑みませぬでしょう?

本多忠勝

納得できるような、できぬような…

榊原康政

であるならば、光秀殿はどのような御仁であるのだろう?

井伊直政

それは某も聞きたく思う。あの方ばかりはそこが知れぬ

長谷川秀一

あぁ、光秀様ですか。あの方は――――

pagetop