あれから俺たちはしばらく歩いた。

由美

そういえば自己紹介がまだだったね
私は由美!
で、こっちが弟のゆうちゃん!
よろしくね!!

背中の上ではしゃぎながら自己紹介している
しかも勝手に俺の分まで。

俺の背中で暴れないでくれ…
茅野姫 優だ。
よろしくな

あ、僕は雪っていいます

由美

へぇー
ゆきちゃんって言うんだ〜

はい!
あ、あそこに見えるのが僕の家です

そう言って雪は前方の建物を指差した。

立派な家だな…

由美

うわー!
おっきいお家だね!

そ、そんなことないですよ。
じゃあ、遠慮せず上がってってください

そう言って雪はドアの方へ走っていった

じゃあ、ここからは肩貸すから
自分で歩けるか?

由美

うん!
ありがとゆうちゃん

俺たちも家の玄関に向かって行った。

由美

あの…
お手洗い借りてもいいかな…?

つきあたりを右に曲がって
奥の扉の前の左の扉がトイレです

由美

ありがと
すぐ戻ってくるね

そう言って姉貴は走っていった

本当に広い家だな

僕もこんなに広くなくていいって
言ったんですが
夏兄が……

兄貴でもいるのか??

はい!
兄と2人で暮らしています
あと……

これは由美姉の声!?

とりあえず声の聞こえた方に
いきましょう

俺たちは声の聞こえた場所へと走った

姉貴!
どうした?!

由美

お、おばけがいた…

そんな曰く付きの家じゃなかったと
思うんですが…

夏希

おばけなんてひどいこと言うな…

由美

きゅう…

姉貴は地面に倒れた。

姉貴?
大丈夫か?

あ、夏兄帰ってたんだ

夏希

あぁ、そんなにお兄ちゃんに
会いたかったか

会話が成立してない…

夏希

それでそっちの人たちは誰なんだ?

優くんと由美ちゃんだよ
足を怪我してるみたいだから僕ん家に
きて手当てしてあげようと思って

夏希

そういうことか
俺は佐倉 夏希だ
よろしくな

この人…
見た感じ年上っぽいな

夏希

あ、そういや
お前たちのこと村の掲示板に
張り出されてたぞ

夏希

なんか見つけたら多額の謝礼金と
なんかをくれるって書いてあったんだが…
難しい漢字で読めなかった。

…おそらく相当な額もらえますよ
それと俺たちも…ね?

どうゆうことですか?

姉貴はずっと倒れてるし
俺が説明するしかないか…

これ村で開催される祭りを知ってますか?
ちょうど今日やっていたんですが…

僕たちこの島に越してきたばかりで
あまりここのことわからないんです…

この島にきたばかり…?
なんでこんなところに…

どうしてこんなところに?

夏兄が都会は嫌だーって
言ったんですよ

夏希

俺は都会より田舎が好きなんだ
幸いお金だけは有り余ってるからな

どうして高校生なんかが
こんなところに来るお金を?

僕ん家の両親がすっごいお金を持ってて
ずっと海外に行ってて毎日仕送りが来るんです

僕たちが子供の頃に
貧乏になりかけたって言ってましたね

子供の頃…か

学生2人をこんな家に
住ませてるくらいだしな

でも、どうしてこんなところに?

夏希

なーんか
親父曰くここに知り合いも多いらしいから
この島にしなさいーってさ

この島に知り合い…?
この島に住んでたってことか…?

それで…
そのお祭りと何か関係が…?

あぁ、話を戻しましょう
今日は奴隷祭って祭が催されていて…

奴隷…祭ですか…?

あぁ…
簡単に言えば人身売買だな。

夏希

人身売買?!

…はい
でも、僕らが奴隷になるのは…

どうしてだろう…
なんだかこの人たちには話せそうな気がする
まるで子供の頃に会っていたかのような。

俺と姉貴と奴隷祭

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