嫁は新しい服を買った。

白地にストライプの入ったフーディーだ。

どうどう?

長男

いいじゃん。

次男

ぼくも新しいのほしいー

長女

私にも時々貸してー

おばさん(姑の妹)

あら、新しい服を買ったの?

私にも見せてちょうだい。

(((( ;゚Д゚)))

こんな服でよければ
わざわざ買わなくても
いっぱいあるわよ。

おばさん(姑の妹)

私たちの部屋にいらっしゃいよ。
ほしいのがあれば、着るといいわよ。

うーわー…

姑シスターズはタンス部屋を持っている。

12帖の洋間で

壁の一面はクローゼットになっている。

広くて使いやすそうな部屋だ。

しかし、この部屋には

洋服ダンスや桐の和ダンスやら

ギュウギュウに配置している。

クローゼットの中にはアルミの衣装箱が

これでもか!と入っている。

まるで劇団の倉庫のようだ。

室内はパラゾールの匂いが充満しており

今にも爆発しそうだ。

私はこの部屋に
引きずり込まれた。

姑シスターズは、公務員を定年退職している。

自分たちのお給料で買った

数々のオーダーメイドの服から

普段着から着物から靴、鞄、アクセサリーまで

2人ワードローブの全てが

この部屋に保存してある。

高価な品や思い出の品など、

全てが2人の宝物なのだ。

これなら、貸してあげるわよ。

おばさん(姑の妹)

その色は、ちょっと地味じゃない?
これはどう?

ワンピースがほしいなんて、一言も言ってないんですけど…

このタンス部屋に入った者は

2度と出ることができなくなるという

恐怖のタンス部屋だ。

姑シスターズの幼い頃の思い出と

思い出にまつわる品々の説明が始まり、

学生時代、戦争時代、OL時代、

お見合い・結婚・離婚、

ダンナの誕生から成長、結婚までと

全てのストーリーを聞かねばならない。

一刻も早く、解放されるには

同意するしかない。

じゃ、これはどう?

ああ、どれも素敵で困っちゃう。
でも私には、もったいないです。
また、でかける機会があった時は
よろしくお願いします。

こうして、

さらに嫁のひきこもりは続く。

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