翌日

おはよう。病院に予約しないとね。
電話しなよ?

え?私がするの?なんで?

なんでって自分のことなんだから
当たり前だろ…?何言ってるんだ?

私は電話が苦手だ。
昨今ではインターネットで予約できるところが増えてきてそれに頼っているが、そういうシステムに対応していない子供の予防接種の予約などは2週間くらい前から気合いを入れてようやく電話できるレベルだった。
ちなみに仕事などでは普通に掛けることも受けることもできる。

電話苦手だから嫌だ。
かけてよ。

大人なんだからそれくらい自分でやりな。

嫌だって言ってるでしょ!!

あーもうめんどくさいなぁ…。

なんでそんなに電話嫌なの?

だって日程とか思ったように話進められないから。

この時はうまく説明できなかったが、私が電話を嫌いな理由はたぶん行ったことのないところへ電話するのにどう対応されるか不安だからだ。
加えて精神科の予約は基本的にいっぱいで、「予めここにしようと思って予約できるものではない」という予備知識があった。

それに仕事休みの時じゃないと一緒に行けない。予定をどうするか私には決められない。電話で決めると提示された日に予約したりして後でかけなおしたりできないからやだ。
やって。

いや、別に電話するだけじゃん。
何言ってるの。

説明しろっていうからしたのになんで納得してくれないの!!
苦手じゃない人がしてくれればいいじゃないの!!

もういいよ、わかったよ俺がやる。

結局この時は夫にわがままを押し通して電話をかけてもらった。完全に呆れた顔をされたのが辛い。
夫が電話をかけている。

あ、もしもし、予約をしたいんですが…
はい、はい…

来月は予約がいっぱいで○日と×日しか初診受け付けてないんだって。どうする?

だから予約取りにくいって言ったじゃない…

仕事の予定が出てるなら再来月にするしかないんじゃない。まだシフトわからないんでしょ?

夫はカレンダーを見ながら私に聞いた。

そうだね~何日にしようか?
早い方がいいよね?ここの金曜日とかどう?月の頭だし。

だからさぁー、あくまで○日と×日が最短だよってだけで再来月ならいつでも予約できるわけじゃないでしょ?

いやまぁそうなんだけどさ。どう?いい?

いいも何も、私には日程は決められないよ。仕事の調整するのはそっちなんだから。

夫は再度病院に電話をかけなおすと金曜日に予約を入れてくれた。
症状の聞き取りがあったらしく、電話を変わるか聞かれたが私は拒否してしまった。

あとから考えた。
私は電話というのは迷惑をかけるツールと認識しているのだ。
病院側にちゃんと対応できないときっと迷惑。
予定を勝手に決めてしまっては夫に迷惑。
こういう観念がぐちゃぐちゃの状態で存在していて、理由を聞かれた時に理路整然と説明できない。そして納得してもらいたいのに「納得できない」と言われてしまうことがしんどかった。

こんなんで治るんかな…。

なまじ知識だけは沢山あったので、自分の状態が薬などですぐ回復するわけでもなさそうだと知っていた私はかすかに不安を感じていた。

続く

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