女神……もとい、美少女に「立ち話もなんだから、どうぞ」と声を掛けた。



すると「お邪魔します」と女神……もとい、美少女は部屋に上がった。



女神……もとい、美少女に「狭くて汚いところですが、どうぞお掛けください」と声を掛けた。



すると「お構いなく」と女神……もとい、美少女ははにかんだ。



「お茶でもどうぞ」と女神……もとい、美少女にお茶を出した。



すると「ありがとうございます」と女神……もとい、美少女はお茶を飲んだ。



「今日は少し暑いで……」……。

あのですね……

だひゃ!?

だひゃ?

いや、なんでもないです

あのですね、お兄さんは「笠地蔵のおじいさん」なのですよ!

笠地蔵のおじいさん?

あれ? 知らないですか? 笠地蔵のむかし話……

詳しくはあまり……

じゃ、話して差し上げますね!

お願いします……

むかし、むかし、
おじいさんとおばあさんが住んでいました。

大晦日、おじいさんは雪の中を
たきぎを売りに出かけて行きました。

途中、雪で埋もれかけた
お地蔵さんを見かけました。

雪を払ってやり、こう言いました。

「笠がなくて寒いじゃろう。
町で買ってきてやるからな。」

たきぎを売ったわずかなお金で
笠を買いました。

帰り道、
お地蔵さんの頭に笠をかけてやりました。

おじいさんはおばあさんにこの話をすると、
おばあさんはとても喜んでくれました。

「おじいさん、いいことしたね。」



その晩のことです。

誰かが歌を歌いながら
家の方にやってきます。

「親切なおじいさんの家はどこかいな。
笠をかけてくれてありがたい。

親切なおじいさんの家はどこかいな。
笠をかけてくれてありがたい。」

声はだんだんと大きくなって、
おじいさんの家の前まで来ました。

入り口をあけると
オコメの俵が置いてありました。

……っていうお話なのですよ

うん、なるほどね

かわえー!!



この女の子の声、かわえー!!



あのエ〇ゲのタイトル、何だっけな?



ヒロインの声に、激似過ぎ。



何回、お世話になったことか……。



……声に聞き惚れて、肝心の内容はよく頭の中に入らなかったけど。



とどのつまり、お地蔵様が「恩返し」をするという話なのだろう。



そして、この女の子が俺に「恩返し」してくれるという話になるのだろう?

お地蔵様のお世話をして下さり、ありがとうございます!

天国のおじいちゃんも喜んでくれていると思います……うう

そうなのだ。



バイト先に行く道すがら、お地蔵様がある場所がある。



少し前まではおじいさんが饅頭や花を供えているのを見たことがあった。



しかし、ここ最近、おじいさんを見かけることが無くなり、疑問だった。



花は枯れたままで、お供えもされなくなっていたからだ。



気になった俺は、近所に住んでいるであろう、おばさんに声を掛けていた。

そのおじいさんなら、先日、亡くなったわよ

そう……ですか

半ば予想していた答えだった。



その事実を知ってから、確かに俺は時折、お地蔵様の世話をしていた。



どうしてかは……よく分からない。



ただ、誰にも見向きもされず、汚れていくことが我慢ならなかった。



だから時折、花やお菓子を備え、暇な時は掃除をしたりしていた……。










そういえば、100円均一ショップで買った、安物の編笠をお地蔵様に被らせてもいた。



……なるほど。



そういう意味でも、俺は「笠地蔵のおじいさん」とも言えなくはないな。



ならば、お地蔵様に代わり、この女神……もとい、美少女は何を「恩返し」してくれるのだろうか……?



昔話ではオコメを恩返ししてくれたという。



だったら、この美少女もオコメを「恩返し」してくれるのだろうか?

……はっ!

ん? オコメ?



美少女がオコメを恩返しする……。



美少女のオコメを恩返し……。



美少女のオ××を……××返し……。



美少女のfじゃpjひあhんふぃlkな……。

ぶわはっ!!

大丈夫ですか!? あ、鼻血が!

慌てて駆け寄ってくれた女神……もとい、美少女が心配そうに俺の顔を覗き込む。

だ、大丈夫!!

女神……もとい、美少女の上目使いに鼓動がさらに早くなるが、平静を装う。

あ、もうこんな時間!?

そろそろお暇しますね

え? もう帰るって?

待った!!

はい?

君はさっき、笠地蔵の話をしたね?

しましたけど、それが……何か?

お地蔵様はオコメをおじいさんに「恩返し」した……

君は……俺に何を「恩返し」してくれるんだい?

えっと、えとえと……

君の可愛いオコメ……見せてごらん?

……っ!?

さあ!!

さあ、さあ、さあ!!

はぁ……良い人だと思ったのに……

マジ、キモイっつーの!

〇ね! クソムシ!

ふっ!

カ・イ・カ・ン!!

はい、これが「恩返し」ということで

なるほど、言葉攻めが恩返しってわけか……悪くない。

あ、それから……

金輪際、お地蔵様に近づくんじゃねーぞ!

テメーは虫唾が走るんだよっ!

あり……がとう……ございま……した……

俺は女神……もとい、美少女の蔑んだ瞳に見詰められたまま絶頂を迎え、気を失った……。










それから女神……もとい、美少女と二度と会うことはなかった。



なお、今日のことを思い出すたび、俺は激しく濡れた。



そりゃもう……ビショビショに。









-完-

おれビショ-後編-

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