僕の学校には不思議な校則がある。
県立四角山高校は、数年前に創立100年を迎えた古い公立高校だ。
ブレザーの制服も、少し小高い丘の上に立つ立地も、偏差値や部活動の実績もごくごく普通の高校。
良く言えば堅実な、悪く言えば地味な学校だった。
しかし、そんな僕の学校には、不思議な校則があるのだ。
午後6時以降、学校内にいる事を禁ずる
というものだ。
定時制の課程があって、昼間の学生は夕方以降校舎内に残らないようにしているという学校があるとは聞くが、僕の学校に定時制課程は無い。
学校施設が夕方以降の使用に耐えないという訳でもなく、校舎が夕方以降何かに利用されているという訳でもない。
理由はわからない。
しかし、この校則は他のあらゆる校則よりも優先されているようで、先生たちですら皆、午後6時を待たずに校舎を後にする。
電子的な警備システムを導入しているらしいが、それ以外の人員を夜間に配する事も無く、僕の学校は6時には完全に無人となるのだ。
その理由を、僕たちは知らなかった。