壁と背をくっつけて玲と距離を置いている今この状況。目の前にある玲ちゃんが作った朝ごはんが美味しそうに湯気を出している中、俺の頭は違う意味で湯気が出ています。ライフが……俺のライフが…残りわずか。まぁ、玲ちゃんの攻撃(精神)をライフで受け止めてたから…でもな、ルールによると、お前のターンは終わったぜ!!これからは俺のターンだ!

ななななんでおおんなのこししてるんでですかね?

いやお前、女苦手だろ?だから慣れてもらおうと思って

口調をもとの男口調に戻し玲は言う。うん、これなら普通に話せる。まったく、余計なお世話だっての。女が苦手でもね生きていけるからいーんですぅ(投げやり)。

お前もう女として生きることで納得したのかよ!?

いやだって、納得する以外にどうしろと?

あ、なんかすみません

言葉になんだか威圧を感じながら何故か謝る。これも全て、あの姉が悪いんや。というより、やっぱこいつは昔っからポジティブというか…適応性が高いというか。この場面ではこいつがこんな性格でよかったと思うよ、うん。ふっふっふ、イケメンでリア充だった玲くんが女の子になったって言われたら玲自身より周りの反応…特に女子からの反応が大きそう。べべべつに、羨ましくなんてないから!?

まったく、女言葉を使えるように昨日練習したんだからお前もこの期になおしたほうがいんじゃないか?

こいつ、ひとりでそんな悲しいことしてたのかよ。

なおせたらとっくにやってる

それもそうだな。じゃあ、頑張りましょう

……!?

女言葉に戻す玲。ここいつ、人の話聞いてたぁ? なにが頑張りましょうだ。世の中には努力しても実らない人がいるの!! もちろん俺のことだがな! 

そそそれをやめろぉぉぉ!

む り♡

な、なんだ、と!? こいつここまで磨きをかけてるのか。これじゃ、中身男ですって言われても気づきまへんよ。てへ☆ 

顔を赤くするぐらいなら言うなよ

プークスクス。顔がまっかですよ? 顔がまっか…はっ! これは照れ屋玲たんだぁ。可愛いのう。

う、うるせぇ。はやくご飯食べろ

はいはい

すぐさま椅子に座り「いただきます」と手を合わせる。そしてご飯を一口。うんうん、おいひぃでふ。………じゃなくて!! なんでさ、なんで朝ごはんをお前がつくっとんじゃーい!

お前さ…なんで朝ごはん作りに来たわけ?

え?それは、お前が不衛生な生活をしてるからだー!!

うぎゃーというような効果音が似合う勢いで玲は怒る。ふむふむ、怒った顔も可愛いですね。どれくらい? そんなものどこまでもにきまってんだろ(曖昧)!! 意味が分からない? 大丈夫だ俺も分からない。

だから、毎日作ってあげるからね!

……!?…いてっ!

く、またしても驚いてしまった。机に脚を打ったじゃないか…毎回こうも驚いてしまうと俺の全身に青子さんができてしまうっ! 青子は青いな醜いあざだな♪ ちがう! そこじゃない。毎日作る…だと!? おいおいおい待て待て待て

おお落ち着け、何かがちがう!

ん?どうして?

いいいや、なな何かが違う気がするんだ。こう……お俺の中にあるななナニカが壊されようとしてるみみたいな

気のせいじゃない?

これを気のせいにしてたまるか! 何故に男同士で夫婦みたいなことをしなければならないのか説明をもとめようじゃないか玲くん。いや、待てよ。玲は女で……いや、玲は男!! ややこしいな! 朝から疲れさせるようなことをすんじゃねぇ。

きゅきゅうすぎて、むむむりです!!いろいろと!!

それじゃ、仕方ない。話し方だけ今は戻す

あ…ありがとうございまっす! 朝ごはんを作りに来るのと喋り方をどっちかやめてもらうときってやっぱり喋り方の方がゆうせんだよね。俺はこの選択を間違えていないはず!!

あっ、そうだ。買い物に付き合ってくれるか?

そりゃまたなんで?

いいから、付き合うよな?

もちろんでっす!

玲が女になってから俺って何かと逆らえてない気がする。これが今や定着している女尊男卑ってやつか!? なんて理不尽な……などと考えていると玲が「早く食べる」と急かしてくるので勢いよくご飯をかきこむ。 

一言いっておこう。玲ちゃんのご飯はおいしかったです。

5 俺の長年のスキルを舐めてもらったら困る

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