俊之との初体験を済ませた絵美は、
その後、俊之の家で夕飯をご馳走になり、
それから俊之に送って貰って、
自宅へと帰って来た。
俊之との初体験を済ませた絵美は、
その後、俊之の家で夕飯をご馳走になり、
それから俊之に送って貰って、
自宅へと帰って来た。
今日、俊之は絵美の家には上がらずに
自宅へと帰る。
そして絵美はというと、
普段は先ず自室へと向かうのだが、
今日はそのままリビングへ行った。
そしてリビングに居た父と母に向かって、
満面の笑みを浮かべ、Vサインをして見せる。
どうしたの!?
何か良い事でもあったの?
うん。
俊君に抱いて貰っちゃった。
あら、まぁ。
それじゃ、着替えて来るね。
そう言うと、絵美は自室へと行った。
何だ!?
昨日の今日じゃないか。
そうね。
まったく。
いいじゃないの。
何がいいんだ!?
絵美のあの笑顔を見たでしょ。
まあ、いい。
それに、あなた、
俊君に全てを任せたんでしょ。
だから、もういいと言ったはずだ。
はい、はい。
そう言うと、絵美の母は逃げる様に台所へ行った。
絵美の父はテレビを見ている。
暫くしてから、絵美がリビングに戻って来た。
そして父に向かって、右の側に座る。
お母さん、私にも頂戴。
絵美は台所で麦茶を入れていた母に声を掛けた。
お父さんは?
貰うよ。
絵美の母は三人分の麦茶を持ってリビングに来て、
絵美の対面に座った。
そして絵美が話をし始める。
何から、
話をしたらいいのかな~!?
ふふふ。
日曜日にさ、俊君、
ウチに来たでしょ。
うん。
それで、お父さんも
お母さんも、俊君の事を
気に入ってくれたでしょ。
そうね。
絵美の父は黙っていた。
私、それが、すごく嬉しくて、
月曜日に学校で俊君と会った時に、
うん。
大好きって言って、
抱き着いちゃったんだ。
学校って、学校の何処で?
廊下。
だから、みんなに見られちゃった。
バツが悪そうに絵美が答えた。
まぁ、この子ったら。
でね。
うん。
今日、俊君がHをしようって
言ってくれた時にね。
うん。
私、訊いたんだ。
何を?
なんで、
Hをする気になったの?って。
そう。
そうしたらね。
うん。
月曜日に私にね、
大好きって言われた事で
決めたんだって。
そうなの!?
何だ、それは!?
私、それまでね。
うん。
自分の方から俊君に好きって、
言った事が無かったんだ。
そう。
本当はずっと好きだったんだけど。
ふふふ。
でね。
うん。
俊君からしたら、
初めて私の方から好きって
言われた事になるでしょ。
うん。
それで、俊君ね。
うん。
やっと、両想いに
なれたんじゃないかって。
そう。
本当はずっと
両想いだったんだけどね。
ふふふ。
私、嬉しかったんだ。
何が?
俊君、ちゃんと私の事を見ていて
くれてたんだと思ったから。
そうね。
でね、でね。
何?
もう一つ、
とても嬉しい事があったんだ。
あら、羨ましいわね。
俊君ね。
うん。
小学校一年生の時から、
私の事を好きだったって
言ってくれていてね。
うん。
私もね。
うん。
小学校一年生の時から、
ずっと俊君の事を
好きだったって言ったの。
そうだったの!?
うん。
でね。
うん。
俊君ね。
うん。
私達、ずっとお互いの事を
想ってきたんだなって。
ふふふ。
それでね。
うん。
これからも、ずっとお互いの事を
想っていけそうじゃんって。
そう。
でね。
うん。
俊君にプロポーズをされちゃった。
あら、まぁ、俊君もやるわねぇ。
本当なのか!?
うん。
俊君が大学を卒業したら、
結婚をしようって。
まだ大学生になってもいないのにね~。
そうなの。
俊君もお母さんと
同じ事を言っていた。
そうなの!?
それで二人で笑ったんだ。
ふふふ。
それでね。
うん。
俊君ね。
うん。
時期が来たら、もう一度、ちゃんと
プロポーズをしてくれるって。
そう。
良かったわね。
うん。
絵美の父は黙って二人の話を聞いている。
最初、絵美の話を聞いた時は
昨日の今日だったので、余りの急展開に、
俊之に対する不信感の様なものが
生まれ始めていた。
しかし絵美が余りにも嬉しそうに話をするのを
目の当たりにして、その不信感の様なものは
何処かへ吹っ飛んでしまった様にも感じたのだ。
まだ絵美は母と嬉しそうに話を続けている。
絵美の父はそんな絵美の姿を見て、
すごく幸せな感じがした。
壁掛けの扇風機が首を振りながら、
勢い良く回っている。
すでに日は暮れて外は暗くなっていたが、
まだ暑さが残る、そんな夏の夜だった。