どこで間違えただろうか、と
ひとりでいると漠然と考えてしまう。


その度に瞳がじんわりと熱くなって、視界が揺れてしまうのだけれど。




再び彼に会ってしまったならば、

その後悔なんて一気に吹き飛んでしまうのだ。



彼はそれほどまでに魅力的な人だった。




彼の声が鼓膜に触れるたび、
彼の指が髪を掬うたび、

心臓がとくんと切ない音を立てて震える。




例えるならば、毒針に蜜。

近づいては駄目だったのだと気付いたのは、
手遅れになってからだった。

それでも、その先を求めて私は近づく。




離れられない、と
離れたくない、はイコールではないけれど、

私にとっては大差なかった。



ずるくてごめんなさい。悪い子でごめんなさい。




私のことを許さなくてもいいから、
どうかお願い、そのままでいて。







毒針に蜜

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