5月1日

電車で30分ほど揺られ、海を臨む場所にその店はあった。

犬伊

結構綺麗なお店だね

新乃

・・・

白勢先生に教えてもらったお店は、ネットで調べると口コミなんかで女性客にひっそりと人気の店らしかった。

店に入ると女性客で賑わっていた。
さすがに男子高校生二人で、というのはいなかった。

犬伊

すごい、甘い匂い・・・

新乃

・・・

熱気と甘い匂いにクラクラしそうだ。
にーのは大丈夫かな?
なんて隣を見ると、なんらんでいるスイーツを早くも選んでいるようだ。
心配なんていらなかった。

miyabi

いらっしゃいませー
席は好きなところへどうぞ
今から2時間食べ放題です

miyabi

飲み物だけは別料金なのでご注意ください

店員はそういうと、忙しそうに行ってしまった。
俺たちは空いていた席に座り、顔を見合わせる。

犬伊

にーの先取り行っていいよ

新乃

・・・

俺が言うと、にーのはさっそく女性客が群れとなったスイーツカウンターに取りに行った。
男一人であの中に飛び込んでいくなんて勇気があるな。
いや、にーのは甘い物しか見えてないか。

新乃

・・・

犬伊

おかえり、にーの

にーのは両手に、ケーキの皿とそれ以外の皿を作って4品ずつ持って帰ってくる。

犬伊

俺、いっぱい食べられないからにーのの持ってきたの、もらっていい?

新乃

・・・

新乃

・・・

一瞬迷ったみたいだけど、オーケーしてくれた。
本当は自分で持って来ればいいんだけど、これもにーののためだからね。

犬伊

にーのはどれが食べたい?

新乃

・・・

にーのが指差したのは、イチゴのショートケーキだった。
ケーキの王道といっても過言ではないそれは、シンプルながら人々を惹きつけて離さない魅力があった。

犬伊

はい、じゃああーん

新乃

・・・

新乃

・・・

にーのは照れながらも、渋々口を開いた。
甘い誘惑には勝てないらしい。

犬伊

美味しい?

新乃

・・・

犬伊

じゃあ、もう一口

新乃

・・・

犬伊

あ、ごめんごめん

ケーキの乗ったスプーンがにーのの口に当たり、クリームが口の端についてしまった。

犬伊

うん、甘くて美味しい

新乃

・・・

美味しそうだったからつい、にーのについたクリームを舐めとったけれど、結構恥ずかしいものだ。

犬伊

あ、今度は俺に食べさせてよ
これがいいな

新乃

・・・

ごまかすみたいに、今度は俺がチョコレートのケーキを指差す。
ケーキの上に乗った、薄くスライスされたチョコレートが結構好きだ。

犬伊

あーん

新乃

・・・

犬伊

あ・・・

新乃

・・・

新乃

・・・

あーんしてくれたにーの。
だけど俺の口にもチョコレートがついてしまった。
さすがににーのはそこまで真似してくれなかった。

miyabi

もう、君たちのせいでみんなお腹いっぱいだよ
商売上がったりなんだから

犬伊

あ、すいません・・・?

店員さんに怒られてしまった。
けど、甘くて美味しい一日だった。

つづく

学校ダーーー

miyabi

つ、ツンデレキャラ被っちゃったんだからね

犬伊

また見てね

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