私はね…。



「ティアラ」っていうの。





















ミサキ

ミサキ

ええええええ!?

 驚いたミサキが次の言葉を口にしようとした時、隣から割り込む声が聞こえた。

あら…さっき隣にいた…同じクラスだったのね。

そんなに驚くことかしら?

私だって「ココア」だもの。

ミサキ

あ、あああ…。

ミサキ

だって…そういう名前って…。

ココア

「犬や猫などのペットが使うような名前」ってことが言いたいのよね。

ティアラ

そんな言い方って…

ココア

確かに言い方が悪かったかしら。

ココア

私も、中学生まではこの名前をとても気に入っていたわ。

ココア

だって「可愛い」んだもの。

 そして彼女は表情を真剣にしてこう言った。

ココア

でもね。考えてみて。

ココア

大人になった時や、年老いた時。

ココア

ココア(34歳) ティアラ(45歳)

ココア

「ココアお婆ちゃん、ティアラお婆ちゃん」なんて変な響きじゃないかしら?




ココア

子供の頃は可愛いかもしれないけど

ココア

所詮、先の事を考えなかった親のエゴでしかないのよ。



ミサキ

ティアラ

ココア

…ミサキ、前の座席表を見なさい。

ミサキ

え…?

 ココアに言われたとうり、黒板までいき座席表を確認した。

 驚いたことにその座席の名前には「キュア、アトム、プウ、ラメ」などの名前があった。

ミサキ

こ、これって…もしかして…

 とても嫌な予感がミサキの中を過った、そしてそれに追い打ちをかけるかのようにココアがこう言った。

ココア

どうやら気づいたのかしら、貴方は頭が良いのね。




ココア

そうよ、逆に取り残されているのはミサキ、貴方って言う事よ。




ココア

時代の変化って、本当に恐ろしいものね。

 なにやらブツブツ言いながら、ココアは教室の外へと出て行った。

ティアラ

そ、そんなに気にしちゃだめだよ!

ティアラ

私は、名前なんて気にせずにただ学校生活を楽しみたいわ。

ティアラ

そうだ、今日は一緒に帰ろう!

ミサキ

う…うん…。

ミサキ

ありがとう、ティアラちゃん。







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