私はね…。
「ティアラ」っていうの。
…
ええええええ!?
驚いたミサキが次の言葉を口にしようとした時、隣から割り込む声が聞こえた。
あら…さっき隣にいた…同じクラスだったのね。
そんなに驚くことかしら?
私だって「ココア」だもの。
あ、あああ…。
だって…そういう名前って…。
「犬や猫などのペットが使うような名前」ってことが言いたいのよね。
そんな言い方って…
確かに言い方が悪かったかしら。
私も、中学生まではこの名前をとても気に入っていたわ。
だって「可愛い」んだもの。
そして彼女は表情を真剣にしてこう言った。
でもね。考えてみて。
大人になった時や、年老いた時。
ココア(34歳) ティアラ(45歳)
「ココアお婆ちゃん、ティアラお婆ちゃん」なんて変な響きじゃないかしら?
子供の頃は可愛いかもしれないけど
所詮、先の事を考えなかった親のエゴでしかないのよ。
…
…
…ミサキ、前の座席表を見なさい。
え…?
ココアに言われたとうり、黒板までいき座席表を確認した。
驚いたことにその座席の名前には「キュア、アトム、プウ、ラメ」などの名前があった。
こ、これって…もしかして…
とても嫌な予感がミサキの中を過った、そしてそれに追い打ちをかけるかのようにココアがこう言った。
どうやら気づいたのかしら、貴方は頭が良いのね。
そうよ、逆に取り残されているのはミサキ、貴方って言う事よ。
時代の変化って、本当に恐ろしいものね。
なにやらブツブツ言いながら、ココアは教室の外へと出て行った。
そ、そんなに気にしちゃだめだよ!
私は、名前なんて気にせずにただ学校生活を楽しみたいわ。
そうだ、今日は一緒に帰ろう!
う…うん…。
ありがとう、ティアラちゃん。