亮真が姫羅璃とかわした約束の期限となった日、亮真は黒い袋を下げたまま姫羅璃の学校の前で待っていた。

キラリ

嘘……

予想だにしていない言葉に、姫羅璃は完全に面食らった。

まさか本当に持ってくるとは

卓哉

マジで持ってきたのか……

キラリ

と、とにかく場所を変えましょう……

姫羅璃と亮真と卓哉は近くの喫茶店に立ち寄った
三人の間には心なしか重い空気が流れている

キラリ

それで……、その袋の中に……

亮真

はい

姫羅璃は黒い袋を手に取り中から箱をとりだす。
中からは「プリンスセレクト」の箱が出てきた。
その表面に描かれているイラストは姫羅璃の持っているものだった

卓哉

確かにこれは姫羅璃の持ってるものとは明らかに違うな……

キラリ

確かに違うなぁ……

亮真

これですよね。姫羅璃さんが言っていたものは

姫羅璃は不思議そうな顔を浮かべる
よく手に入ったなという意味ではない

いうなれば違和感である

キラリ

なんだろう……
この違和感……

亮真

認めてくれますよね!

卓哉

それにしてもすごいなぁ……
よく見つけてきたねぇ……
ところどころ今と同じようなところもあるな

キラリ

それよ!!!

姫羅璃は思わず声を上げる
卓哉と亮真がなんだといった顔で姫羅璃を見る

キラリ

そう!
このパッケージは今と変わらない部分もある
でも、この主人公の持ってる杖はこのバージョンの時だけ違う絵が使われてるの

亮真

えっ……

キラリ

つまりこれは偽物、贋作

姫羅璃は得意げに語る。
要はこの初回限定版はそもそも絵の書き間違いが存在していた

初回限定版の絵が違うというのはそういう経緯もあってのことであったのだ

しかし、この絵はその絵が間違っていない
つまり、正しすぎるというべきなのだろうか

亮真

じゃあ……

キラリ

気持ちは嬉しいけど、これは本物じゃないからね……

亮真

そんな……

卓哉

これで一件落着か?

姫羅璃は残っていた紅茶を飲み干すとそのまま店を出ていった。
卓哉は亮真を一瞥し姫羅璃の後を追った。

店には亮真が一人取り残された。

キラリ

ありがとね、卓哉

卓哉

どうしたんだ?改まって

キラリ

卓哉の言葉が無かったら気が付けなかったかもしれないから。
あれだけ想ってくれるのは嬉しいけど、やっぱり好きな人がほかにいるから……

卓哉

へぇ
姫羅璃好きな人できてたんだ
今度紹介してよ

キラリ

え?
あぁ……うん……今度紹介するよ

卓哉

じゃあ、俺今日はばあちゃんちに泊まるからここでな

キラリ

うん……じゃあね……

卓哉は姫羅璃と別れていった。
姫羅璃はふぅっとため息をついて家路についた

キラリ

勢いで言えるかと思ったけどなぁ……

姫羅璃は自分の思い切りの悪さに嫌気が少し差しながらもふわふわとした感覚を味わっていた

キラリ

えっ?

姫羅璃の背中に生暖かくドロッとした感覚としびれるような激痛が襲う

何が起こっているのかの察しはついた

キラリ

亮真……さん……

亮真

俺のものになれないなら……こうするしか……

亮真はそう言ってさらに深く突き立てた包丁をさらに奥へとねじ込む

キラリ

うっ……うぅ……

亮真

じゃあね……俺のかぐや姫……
君が帰るのは月じゃ無い
土の中だよ……

亮真

今度は俺が……竹の中から助けてあげるから……

終幕

おわりのおはなし:わたし○○にかえります

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