私だけの『想い』の形容(かたち)
私だけの『想い』の形容(かたち)
メインキャスト
「ひめみや ゆい」です。14歳の中学生です。こう見えても私、結構モテるんだからね?お兄ちゃん?
「ひめみや きょうや」、17歳。高校生。結愛の兄なんだが…。
「じょうがさき あすか」よ。17歳、高校生。鏡也クンのクラスメイトなの。
プロローグ
今年も桜の季節が訪れた。
淡いピンク色が空を覆っているように見える。
私はここで人を待っていた。
待ち合わせの1時間も前に到着してしまい、少々時間を持て余している。とにかく早くその人に会いたかった。毎日顔を合わせているのに。
だから、私は桜を見ていた。
春の風が木々を揺らす。
ざわざわ…と。
もしかすると…それは私の心が発した警告音だったのかも知れない。
何気無く移した視線の先に…待ち人はすぐそこにいた。
あ、あれ?…お兄ちゃん?
私は予定の時間よりも早く待ち合わせの相手に会えるとは思っていなかった。だから浮かれていた。
結愛…?どうして…?
私の存在に気が付いたその人は、そんなことを口にする。
どうして…こんなに早く?…よね?
だって…早く逢いたかったんだもん。
やっぱり今思い出してもわかる。
私は…浮かれていたんだと思う。
桜満開の小道を好きな人と歩く…。
今日はお天気も味方。
何もかもが私とお兄ちゃんを祝福している…そんな錯覚さえ覚えていた。
だから…
その人の存在に気が付けなかった。
初めまして・・・結愛さん?
突然私の前に現れたその女性は、とても綺麗な人だった。読モやってます…とか、そういう感じではないけれど、元々が可愛い、整っている感じ。
私の中で何かが音も立てずに崩れていくのを感じていた。
そして
桜吹雪に包まれて・・・私は・・・
自分の中の兄への想いが何なのかを知った。
続く。