伊納アスナ

むー、すっかり遅くなってしまいましたねえ

伊納アスナ

誰かさんたちがはぐれるから

鈴石茜

べ、別にはぐれたわけじゃ……

佐島亮

鈴石先輩が「花火こわーい」って泣きつくからついていっただけです

鈴石茜

話を改ざんするな!!

鈴石茜

しっかし、この道のお店は殆ど閉まっちゃってるね……メイトもやってない

伊納アスナ

いつもやっているお店が閉まっていると、ちょっと、心細い感じがしますね

鈴石茜

うん……

佐島亮

なんですか? もしかして怖いんですか?

鈴石茜

え……いや……

鈴石茜

まあ暗いと不審者も出やすそうだし、そういう意味では怖い……かな

伊納アスナ

そうですね! アスナのような美少女は不審者の標的の的ですから

鈴石茜

変人仲間として連れ去られるかもねー

佐島亮

まあ、安心してください。こういう時のために温厚だけど柄が悪いことで有名な東海先輩が……

東海竜弥

…………

佐島亮

……東海先輩?

鈴石茜

……寝てる

東海竜弥

むにゃむにゃ……金魚、おかわり……

鈴石茜

金魚を手にしながら言う台詞ではない!!

東海竜弥

あ…………

東海竜弥

朝?

伊納アスナ

東海先輩にはこの暗闇が見えないのでしょうか

鈴石茜

まったく……しょうがないなあ

鈴石茜

まあ、補導されないうちに急いで帰るとしよう

佐島亮

今、何時ですか?

鈴石茜

んーっと、9時半をまわったところ

佐島亮

じゃあ、余裕ですね

鈴石茜

いや、結構ギリギリだよ? この地区は高校生の外出時間が10時までって決まってるから

鈴石茜

原則、ね

佐島亮

知ってますか? 

佐島亮

規則というものは破るために存在する!

鈴石茜

それ、生徒会役員が言っちゃいけない台詞!

伊納アスナ

まあ、お祭りの日くらい大目に見てくれるとアスナは信じていますけど

鈴石茜

まあ、そうだね……なんにせよ、早く帰ろう

佐島亮

そういえば、結局鈴石先輩は生徒会を続けるんですか?

鈴石茜

ああ……

鈴石茜

うん……続ける

佐島亮

受験勉強は大丈夫なんですかー

鈴石茜

生徒会の仕事を途中で投げ出すようじゃ、受験勉強もできないのぜ~

佐島亮

…………

伊納アスナ

さっすがです! 生徒会長殿!

鈴石茜

へへ、まあののか先輩のアドバイスのお陰なんだけどね

佐島亮

まったく……頑張りますねえ

鈴石茜

投げ出すのは、私らしくないでしょ?

鈴石茜

…………なんてね

佐島亮

まあ、鈴石先輩が残ってくれると俺も楽できるので嬉しいんですけど

鈴石茜

まったく、佐島くんは……

伊納アスナ

そういえば、東海殿はどうなのです?

東海竜弥

…………俺?

伊納アスナ

生徒会、続けるのですか?

東海竜弥

うん

鈴石茜

ほう。どうして?

東海竜弥

……なんとなく

東海竜弥

楽しいから

伊納アスナ

あんなにやる気のなさそうだった東海殿が……人って変わるものですねえ

鈴石茜

じゃあ、後期もこの生徒会は継続されるってわけだ

鈴石茜

やったね

佐島亮

そうですね

佐島亮

じゃあ、僕はサボってももう問題ないですね

鈴石茜

んなわけあるか!

伊納アスナ

佐島殿がサボるくらいならアスナがサボりますよ

鈴石茜

この二年生共、どうにかならないものか

鈴石茜

あれ…………?

伊納アスナ

どうしました? 生徒会長殿

鈴石茜

あの子、うちの学校の制服着てるんだけど……

伊納アスナ

どれどれ……

伊納アスナ

リボンが黄色……一年生ですか

鈴石茜

うん……でも、様子が……

山吹真琴

ですから、困りますわ……そういうの

大丈夫、大丈夫。最初は安くしてあげるから

山吹真琴

でも、門限だってありますので……

たまにくらいなら、破っても大丈夫だって

山吹真琴

よくないです……

鈴石茜

すみません、何をしてらっしゃるのですか?

あん?

山吹真琴

…………!

なんだてめえ、こいつの仲間か?

鈴石茜

私は、その子の学校の生徒会長です

鈴石茜

何か彼女を困らせるようなことをしているのならば、私たちが許しません

困らせること?

そんなもん、した覚えはないなあ

鈴石茜

いや、今だって、女の子を店か何かに連れ込もうとしているじゃないですか……過剰な勧誘は禁止されています

伊納アスナ

そうです。そういうナンパな男はアスナの妄想の範囲外です

山吹真琴

…………

伊納アスナ

ほら、今のうちに逃げてください

山吹真琴

は、はい……っ

あ、コラ……

ちっ 経営妨害だぞてめえら

どこ高だ? 訴えてやる

鈴石茜

いや、別に訴えられる要素ない気がするんだけど……

佐島亮

いるんですねー、こういう常識が通じない人って

あぁ!? なんか言ったか?

伊納アスナ

わー、お酒臭いですー

鈴石茜

どうする? 最悪警察呼ぶ?

佐島亮

呼んでいる間に門限過ぎますよ?

鈴石茜

あー……それはまずい

東海竜弥

……眠い

東海竜弥

帰る。

鈴石茜

竜弥ぁ!? 連帯行動を取ろうか!?

佐島亮

通常運転ですね

伊納アスナ

アスナが言うのもなんですけど……私たち、落ち着きすぎじゃないですかねー

鈴石茜

いや、あまりに相手がテンプレすぎて

佐島亮

ですね

伊納アスナ

駄目です。重症です。二次元に染まりすぎています。

東海竜弥

ふっ

東海竜弥

危篤

伊納アスナ

危篤って……

さっきからごちゃごちゃとうっせーなあ

こっちの言ってることわかってんのか!?

鈴石茜

いや、さっぱり

佐島亮

あんまり刺激しない方がいいんじゃないですか?

鈴石茜

いや、暴力沙汰になればあっちが圧倒的に悪人になる。そう簡単に手出しはしないはず

伊納アスナ

圧倒的漫画の世界の常識ですね

鈴石茜

ん……暴力沙汰……?

それって…………

おいこらそこの眼鏡!!

伊納アスナ

はい! アスナのことですか!?

鈴石茜

なに普通に返事してんの……!?

お前があの娘逃がしたよなあ。代わりに金払ってくれんのか!? ああ?

伊納アスナ

それは……

伊納アスナ

お断りです☆

あぁ!?

鈴石茜

あ……

佐島亮

あー

完全に失念していた

伊納アスナ

アスナに拳で勝とうなど百年早いですよー

この子暴力沙汰で謹慎処分受けてた子だったー!!

佐島亮

ありましたね、そんな設定

鈴石茜

設定じゃない、これは現実

東海竜弥

……死んでる

鈴石茜

え!?

佐島亮

いや、息はあるっぽいです。でも気絶してます

鈴石茜

で、でもどうするのこれ。私たち加害者だよ!?

佐島亮

ふむ……

佐島亮

祭りの後に後の祭り……

佐島亮

なかなかいい響きじゃないですか!

鈴石茜

西○維○でありそうな感じだね……

鈴石茜

じゃなくて!!

伊納アスナ

ずらがるのが一番です

鈴石茜

で、でも…………

佐島亮

罪悪感が胸が潰れますか?

鈴石茜

んー

鈴石茜

やっぱり、正直に言った方が……

伊納アスナ

それは駄目です

鈴石茜

でも……

伊納アスナ

警察にいくならアスナと佐島殿だけでいきます

鈴石茜

なんで!?

伊納アスナ

だって、生徒会長殿と東海殿は受験生じゃないですか

伊納アスナ

受験生に汚名は着せられません

伊納アスナ

それに、悪いのはアスナですから……

鈴石茜

アスナちゃん……

この子、悪い子じゃないんだよな……

佐島亮

しょーがないですねえ

佐島亮

僕も一罪被りましょうか

鈴石茜

いや、そんなの……

鈴石茜

この場をうまく切り上げられなかった私の責任で……

東海竜弥

…………

どうしよう。
私、先輩なのに……何もできない。

どうすれば……

東海竜弥

伊納アスナ

け、警察ですか!?

鈴石茜

そんな……

佐島亮

いや…………

菊田実

おいてめえら! これに乗れ!!

鈴石茜

隊長!?

野木ののか

はよう乗らんと後悔するぞよ

鈴石茜

ののか先輩まで……

鈴石茜

あの、でも

佐島亮

…………

佐島亮

乗りますよ、先輩!

鈴石茜

うわっ ちょっと!

佐島亮

いつまで優等生ぶってるんですか~

鈴石茜

ゆ、優等生ぶってなんか……っ

伊納アスナ

では、アスナも失礼します

伊納アスナ

ほら、東海殿も

東海竜弥

うん

突如現れた先輩たち。
生徒会メンバーはどうなる!?

続く!

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