ジェネシックパーク 岩に刺さった伝説の剣の展示会場
ジェネシックパーク 岩に刺さった伝説の剣の展示会場
こちらの剣はジェネシックワールドに古くから伝わる伝説の勇者が持っていたとされる聖剣になります。
今俺らが来ているのは伝説の剣とやらの展示場だった。岩の塊に一本の剣が刺さっていた。
金属を科学的に分析した結果、およそ2000年以上前に創られたとされています。
それと、なんと!この剣に使われている金属は地球上に存在しない未知の金属で出来ているということが近年になって判明されました。一説では宇宙からきたのではないかと云われています。
一体誰が何の目的でこれを造ったのか、それは今でも解明されていません。
大袈裟な、ただの模造刀じゃねぇかよ。
うおおおおおお!伝説の剣キタコレ!欲しい!絶対欲しい!!!
アマ○ンで検索しろよ。多分沢山出てくるから
この剣は選ばれし勇者にしか抜くことはできないとされています。もしも抜くことができれば聖剣をお持ち帰りして頂いても構いません。どなたか挑戦するかたはいらっしゃいますか?
はいはい!やる!やります!
案の定、親父はのってきた。全く、よくやるよ。
一回5000円になります♪
高ッ!? ボッタクリじゃねぇか
オモチャを引っこ抜くだけなのに暴利すぎんだろ。
普通の人なら躊躇する額だ。
親父やめとけって、あんなのに5000円も払う価値ないっての
何を言ってるんだ! 5000円で伝説の剣が手に入るんだぞ!すごく良心的じゃないか!
騙されてるから!
意外にも親父以外に挑戦する人が多く、順番待ちになった。その際行われた抽選で順番が決まり、俺達は親父に付き合わされる形で列に並んだ。
みんな旅行ということで財布の紐が緩くなってるようだ。
なぁ、もしも俺が抜いたら、俺が実質勇者ってことになるんだよな?
安心しろ。絶対抜けないから
岩に固定されてるのが丸わかりだ。
そしてついに親父の番まできた。親父は模造刀の前で何やら気を溜めている。
御年46になるオッサンの挑戦が始まる。
俺の中に眠る勇者の力を、いまこそ目覚めるときだ!
では、制限時間一分!よーい……スタート!
フンッ!!!
10秒経過
グウウウウウウウウウウウウウウウ……
20秒経過
グオオオオオオオオオオオ!!!
30秒経過
フンガアアアアアアアア!!!
40秒経過
ひっぐぅうううううう!!!
50秒経過
ぜぇ……ぜぇ……あかんこれ無理……
だから言ったろ無理だって
60秒経過
はい、時間終了でーす!健闘虚しく残念でした。
くっそ!
ああいうのは岩に固定されてんだよ。
違う、俺に勇者の資質がなかったからだ!
安心しろ、そんなものは初めからない。
も、もう一回お願いします!
やめとけって!
いや次こそは!次こそは絶対抜ける!なんならATMから全額引き落としても……
あなた!
家のローンって、あと何年残ってましたっけ?
すみません、やめます……
流石お袋、親父を一気に現実へ引き戻した。
一方その頃……
勇者さまぁ、メルル本当にしんどいですぅ……ちょっとだけでいいんでお水を飲ませて欲しいですぅ
身丈に似合わないバカでかいリュックを背負わされている魔法使いのようなコスプレした女の子はしんどそうに言った。
甘えたこと言うな。俺らは先を急いでると何度も言わせるな!
な、ならせめて、勇者さまも荷物を少しでいいんで持って欲しいのです……ほとんどが勇者さまの装備で重すぎて辛いのです。
すると勇者のコスプレした男は連れの女の子を睨みつけた。
勇者の俺に荷物持ちをしろと? ほほーう、従者のくせに随分とでかい口を開くようになったじゃないか。
そ、そんなつもりじゃ……
女の子は勇者を見ながら震えていた。どうやらまた地雷を踏んでしまったようだ。
ごめんなさいです!ごめんなさいです!メルルが持ちますから、持ちますから……
勇者のコスプレ男はその姿を見て満足したのか機嫌を直す。
フン、まぁいい。お前と口論するだけ時間の無駄だ。俺には勇者としてこの世界を救う崇高な使命がある。一分一秒も時間を無駄にできないし寄り道してる暇などな…………ん?
勇者のコスプレ男はある看板を見て止まる。それに女の子は不思議そうにしていた。
どうしましたか勇者さま?
伝説の聖剣の展示場だと……
勇者のコスプレ男の目に入ったのは展示場の案内板だった。
こうしてはいられない!行くぞ!
勇者のコスプレ男はさっきと来た道を戻り始めた。
ゆ、勇者さま!そっちじゃないです!レジスタンスの人達との待ち合わせ場所は向こうの方角ですぅ!
そんなものは後だあと!それよりも聖剣だ!
勇者のコスプレ男は展示場に向かうと、女の子は重そうな荷物を持って彼の後を慌てて追いかけた。