ボクは、りつこ先輩の
言う通り、
メトロノームを鳴らしながら
ピッキングをした…。
も、もっと早く……。
こ、こうですか?
そう……。
あ、でもあんまり強くしないでね……。
は、はい……。
そう……。上手よ。
一定に、小刻みに。
指を動かすんですよね?
そ、そう……。
よく覚えているわね……。
先輩に、教えてもらったので……。
しょうた君……。
ちょっと!
な、なんですか!
その会話は!
え?
オルタネイト・ピッキングを
実技で教えてるのよ?
そうですけど?
そ、そうですか…。
失礼しました。
とても、そんな風な会話じゃなかったような……。
りつこ先輩。
ボク、オルタネイトピッキングがわかってきました!
上下に交互に弦を弾くんですよね?
これコツさえ掴めば簡単ですね!
甘いわ!
え!?
甘い、といったのよ。
このおバカさん。
な、なんで甘いんですか?
あなた、私があげたメトロノームを使ってる?
い、いえ…。
そういえば使ってません…。
やっぱりアホね。
リズム90で設定して、
一度ピッキングをしてごらんなさい?
ボクは、りつこ先輩の
言う通り、
メトロノームを鳴らしながら
ピッキングをした…。
あ、あれ?
ふふふ…。ほらね。
おかしいな…。
リズムが……。
合わなくなってくるでしょう?
はい…。
いい?
ピッキングでリズムキープが出来ないと、曲の演奏中にリズムがどんどん崩れるわ。
そうね…。
そこ、最初に教えるべきだったわ。
ごめんなさい。
しょうた君。
い、いえ!ボクがメトロノームを
使わなかったのが悪いんです…。
そう!あなたが悪いの!
最低のクズ男なのよ!
ううう…。
その時、めいこ先輩が部室に入ってきた。
しょうた殿。
余はそなたの事は「クズ」などとは
思っておらぬぞ?
めいこ!
うう…。
めいこ先輩。
余の小さな胸を褒めてくれたのは
そなただけじゃからの。
なっ!
なんてハレンチな!
まぁ!しょうた君ったら!
す、すみません!
以前、めいこ先輩が
「貧乳」で悩んでいたので…。
ボクが「大きくても小さくても胸は胸ですよ」って慰めたんです……。
最初はセクハラで訴えようと思ったのだがな…。
訴えましょう!このハレンチ男を!
うむ、しかしな悪気がないというのも
事実なのじゃ。
受け取る側の問題、ということもあるのでな。
そうね、少しくらいエッチじゃないと。
男の子はね…。
お、女の子も少しくらいエッチでも
いいのでしょうか?
うう…。
以後気をつけますぅ…。
つづく…