もなみ部長

も、もっと早く……。

しょうた

こ、こうですか?

もなみ部長

そう……。

あ、でもあんまり強くしないでね……。

しょうた

は、はい……。

もなみ部長

そう……。上手よ。

しょうた

一定に、小刻みに。

指を動かすんですよね?

もなみ部長

そ、そう……。
よく覚えているわね……。

しょうた

先輩に、教えてもらったので……。

もなみ部長

しょうた君……。

りつこ

ちょっと!
な、なんですか!
その会話は!

もなみ部長

え?
オルタネイト・ピッキングを
実技で教えてるのよ?

しょうた

そうですけど?

りつこ

そ、そうですか…。
失礼しました。

りつこ

とても、そんな風な会話じゃなかったような……。

しょうた

りつこ先輩。
ボク、オルタネイトピッキングがわかってきました!
上下に交互に弦を弾くんですよね?

これコツさえ掴めば簡単ですね!

りつこ

甘いわ!

しょうた

え!?

りつこ

甘い、といったのよ。
このおバカさん。

しょうた

な、なんで甘いんですか?

りつこ

あなた、私があげたメトロノームを使ってる?

しょうた

い、いえ…。
そういえば使ってません…。

りつこ

やっぱりアホね。

リズム90で設定して、
一度ピッキングをしてごらんなさい?

ボクは、りつこ先輩の
言う通り、
メトロノームを鳴らしながら
ピッキングをした…。

しょうた

あ、あれ?

りつこ

ふふふ…。ほらね。

しょうた

おかしいな…。
リズムが……。

りつこ

合わなくなってくるでしょう?

しょうた

はい…。

りつこ

いい?

ピッキングでリズムキープが出来ないと、曲の演奏中にリズムがどんどん崩れるわ。

もなみ部長

そうね…。
そこ、最初に教えるべきだったわ。

ごめんなさい。
しょうた君。

しょうた

い、いえ!ボクがメトロノームを
使わなかったのが悪いんです…。

りつこ

そう!あなたが悪いの!
最低のクズ男なのよ!

しょうた

ううう…。

その時、めいこ先輩が部室に入ってきた。

めいこ

しょうた殿。

余はそなたの事は「クズ」などとは
思っておらぬぞ?

もなみ部長

めいこ!

しょうた

うう…。
めいこ先輩。

めいこ

余の小さな胸を褒めてくれたのは
そなただけじゃからの。

りつこ

なっ! 

なんてハレンチな!

もなみ部長

まぁ!しょうた君ったら!

しょうた

す、すみません!
以前、めいこ先輩が
「貧乳」で悩んでいたので…。

ボクが「大きくても小さくても胸は胸ですよ」って慰めたんです……。

めいこ

最初はセクハラで訴えようと思ったのだがな…。

りつこ

訴えましょう!このハレンチ男を!

めいこ

うむ、しかしな悪気がないというのも
事実なのじゃ。

受け取る側の問題、ということもあるのでな。

もなみ部長

そうね、少しくらいエッチじゃないと。
男の子はね…。

りつこ

お、女の子も少しくらいエッチでも
いいのでしょうか?

しょうた

うう…。

以後気をつけますぅ…。

つづく…

第八回「オルタネイトピッキングと貧乳」

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