花宮 鈴

…。

 …私は一体?
 この人は…レッドクロ?

 どうして…私を抱きしめて…?

レッドクロ

…ここから出よう。

 レッドクロは私の手を取り、走り出した。

花宮 鈴

…そう言えば、黒貴君!

…私…黒貴君の怪我を治療できるものを探していたんだった…。
…黒貴君。

レッドクロ

…ついた!!

 …どれだけ走ったのだろうか。
 気が付けば、玄関までやってきた。
 …けれど、確か…この扉、開かなかった気が。

レッドクロ

…鍵は前もって盗んどいたさ。

花宮 鈴

鍵があったのね…。

 レッドクロが扉を開けようとした時だった。

レッドクロ

…っ!?

 …レッドクロの足から血が飛び散ったのだ。
 レッドクロはその場に倒れこんだ。

 …どうやら、動けないらしい。

薔薇城 赤貴

…どこへ行こうとしているんだい?

花宮 鈴

…赤貴さん?

 …どうして…。
 赤貴はこちらへゆっくりと近付いてくる…。

レッドクロ

…あ…赤貴…?

 …どうやら、レッドクロも赤貴が自分を撃ったことに驚いているらしい…。

薔薇城 赤貴

…なあ、レッドクロ…。
シロエ姉さんを蘇らせるには…新しい生け贄が必要なんだ…。
…大人しく…鈴を渡せ。

レッドクロ

…お…まえ…好きな…子を…生け贄…にできるのか…?

レッドクロは必死に笑みを作り、赤貴に聞いた。

花宮 鈴

…?

薔薇城 赤貴

…好きな子が絶対に振り向いてくれないなら…白雪の生け贄にして…側に置く。

…え…赤貴さん…私のこと…。

レッドクロ

…ははっ…まるで、狂った貴公子だな…。
…この黒薔薇が。

薔薇城 赤貴

褒め言葉ありがとう…。

薔薇城 赤貴

…安らかに眠れ。

…赤貴は、レッドクロ目掛けて銃を撃った。

…が、弾は壁にぶつかった。

薔薇城 黒貴

…間に合ったか。

花宮 鈴

…黒貴君!

薔薇城 赤貴

…黒貴、生きていたのか…!?

黒貴君…良かった…。
けれど…怪我は大丈夫なのだろうか。

クロア

…ああ…なんて愚かな赤貴…。

…クロア!!

薔薇城 赤貴

…誰だ。

…そう言えば、クロアは何者なんだろう。

レッドクロ

…シロエ…?

薔薇城 黒貴

シロエ…姉さん…。

…シロエ…って…黒貴君たちのお姉さん…!?

クロア

そうよ…シロエよ。

薔薇城 赤貴

…っ!!
…シロエ…姉さんは…死んだはず…。

赤貴は動揺したが、すぐに落ち着いたようだった。

薔薇城 赤貴

…お久しぶりです。
そのお姿は…白雪の呪いですね。

…白雪…。
そう言えば、なぜ…白雪の生け贄が必要なのだろうか…。

クロア

…呪い…ね。
赤貴…私を殺したことは…恨んではないわ…。
ただ…白雪の怒りに触れてしまったの。

そう言い、クロアは赤貴に近づいた…。

花宮 鈴

…あ…あ…。

薔薇城 赤貴

…ぐあ…。

赤貴の胸元が血で赤く染まった…。
赤貴はその場に座り込んだ。

それと同時に金色の羽がついているカバが落ちてきた。

花宮 鈴

…眩しい…!

突然、金色の羽がついているカバは光り、

???

…。

女の子へと変わっていった。

クロア

…白雪姫。

薔薇城 黒貴

…まさか…生け贄を迎えに…!?

黒貴は剣を構えた。

…が、白雪の向かった先は…赤貴の元だった。

白雪

…次の生け贄とする者…前者を殺した者…。

薔薇城 赤貴

…そんな話聞いたことがな…!

薔薇城 赤貴

…お…俺は…ただ…。

赤貴は闇の中へと引きずられていった…。

…認められたかった。

白雪

…また、増えた…寂しくない。

そう言い…白雪は消えたのだった。
彼女は…何者だったのだろうか…。

レッドクロ

…俺は…黒貴に…。

薔薇城 黒貴

…気にするな…あの時…俺はシロエ姉さんを守れなかった…。
それは…事実だ…記憶がなくても…。

黒貴はレッドクロの足元を見た。
そして…自分のスカーフをちぎり、止血した。

クロア

…代々生贄を”桶”に白雪姫に授けて屋敷を守ってきたため…今回…白雪姫が直々に来て取りに来たため…屋敷は…力を失い…崩壊寸前になっているの…。

 …どういうことなのだろう。
 謎が多すぎる…。

クロア

…話は…黒貴に聞いて…私は…なんとか時間を持たせるから…。

 …クロア…いや…シロエさん…。

レッドクロ

…俺も手伝う…よ…。
どうせ…俺は…動けない…。

薔薇城 黒貴

…!!
何を言っているんだ…僕が連れてい…。

 …言い掛けた時だった。
 天井が崩れ、黒貴とレッドクロの二人の間に落ちてきた。

 …そして、屋敷内は真っ暗になった。

花宮 鈴

…きゃっ!?

 …真っ暗であまり周りが見えない。

薔薇城 黒貴

…シロエ姉さんっ!!
レッドクロっ!!

 …ふさがれてそちらへ行けない。

ー向こう側にてー

レッドクロ

…シロエ…俺はあの時の後悔が消えていない。

クロア

…私は後悔はしていないわ。
それに…誰も恨んではないの…。
赤貴も…。

 クロアから聞くと…あの時、黒貴のペンダントは赤貴が隠し…赤貴はそれを黒貴に井戸に落ちたと伝えてあの結末になってしまった…ということだった。

レッドクロ

…俺は…疑いもせず…赤貴の言葉をうのみにして…黒貴を…。

 …俺は馬鹿な奴だ。

クロア

…良かったの?
その怪我…私治せたのに…。

レッドクロ

…ああ…。
悔いはない…それに…。

レッドクロ

…今度はシロエのそばにいたいんだ。

クロア

…レッドクロ。

シロエ

…ありがとう。

-レッドクロとシロエ(完)ー

薔薇城 黒貴

…。

花宮 鈴

…黒貴くん…行こう。

 私は黒貴くんに手を差し出した。

薔薇城 黒貴

…ああ。

 私たちは屋敷から脱出した。
 その後…私たちは私の村に行き、話をした。
 村の人たちはあの屋敷のことを知らず…誰も信じてくれなかったが…黒貴くんを村人として歓迎してくれた。

 …レッドクロとシロエさんはあの後、どうなったのか誰も知ることはなかった。

ー数年後ー

薔薇城 鈴

…綺麗な満月。

 あれから数年後…私は黒貴くんと結婚した。
 今は二人の子供と四人で暮らしている。

薔薇城 黒貴

…そうだな。
心が癒される…。

薔薇城 黒貴

…あれから何年経っただろうか。

薔薇城 鈴

…そうね。

 …レッドクロとシロエさんはあっちで幸せにしていると良いな。

お父様、お母様、おやすみなさい。

お母様ぁ…子守歌。

 部屋から子供たち二人が顔を出した。

薔薇城 黒貴

…ああ、おやすみなさい。
…そろそろ…僕たちも寝るか。

薔薇城 鈴

…そうね。

 私たちは部屋へと戻っていった。

…良い満月だ。

 -END-

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