……なさい……プロデューサー……
……なさい……プロデューサー……
目覚めなさい…勇者プロデューサー…
私は女神サトミ
あなたは勇者の力を受け継ぐ者…
私はあなたが目覚めるのを100年の間、ずっと待っていました…
さあ闇の魔王を倒し、ふたたび世界に光を取り戻すのです…
私からの贈り物です。あなたのそばにある宝箱をあけなさい…
きっと旅の役に立つでしょう…
え? 急にどうしたのかって?
もう、せっかくいいところなのに、台無しにしないでくださいよ
今日はゲーム『Idol Fantasy』の映画化記念イベントの日なんです
『Idol Fantasy』といえば、100作以上もタイトルが続く人気オンラインゲーム
あまりに長く続いたので、最近は名前のネタがなくなって
Idol Fantasy赤紫とか青こげ茶とか… Idol Fantasy本元とか開祖とかまで出てるそうですよ
まさかプロデューサーさん!
知らないなんてことは…!?
そんなことはないですよね!
『Idol Fantasy』は現実のアイドルをモデルにしたキャラクターが登場することでも知られていて
映画ではモデルとなったアイドルが実際に役を演じるそうです
スペシャルイベントとして、今日から最新作のゲームでも、アイドルがプレイするキャラクターが登場するそうなんですよ
どんなアイドルが出てくるのか気になりますよね?
ということで、私、女神サトミがゲームを買っておいたので、早速遊んでみましょう!
この日のために、発売日に並んで買ったんですよ
え? 仕事中なのにゲームしてもいいのか? ですって?
いえいえ、これも立派なお仕事です。
あー、お仕事はつらいなー♪
さあ、スイッチを入れてください!
ここはディーライトの街です
ミツル姫が魔物にさらわれたそうだ。
アイザーワ王はさぞご心配だろう
おおっ、何だか王道RPGっぽい街の人です!
え? ファンタジー世界のわりに街並みが現代風に見える?
こういうのが最近流行りなんですよ。
プロデューサーさん遅れてますね
城のことも気になりますが、まずは…酒場で仲間を集めましょうか
いらっしゃい!
ここは冒険者たちが集う金象の酒場よ
酒場というより…ただの屋台ですけど…
え? プロデューサさん…?
小夜子ちゃん!?
その恰好は…忍者ですか
はい。ここで勇者を待つようにとスタッフさんに言われて…
えっと…
あやしいやつ! さてはわたくしの巻物を狙う魔物が、人間に化けているのですね!
って、急になんですか!
あ、いえ、そう言って勇者に襲いかかるシナリオなんです
覚悟なさい!
いきなり戦闘!?
プロデューサーさん、早く準備を!
な…なんとか…勝ちました
しかしいきなり上位クラスの忍者と
戦うことになるなんて…
このゲームのシナリオ、かなり無茶苦茶じゃないですか!?
装備も初期装備の木のマイクだけだし…
でもこれで、小夜子ちゃんをパーティーに加えられますね
あの、そうしたいところなんですが…
わたくしはここで一度、逃げることになっていて
ええーー!?
すみません…つぎに会った時に仲間になると、攻略サイトに書いてあったので
またゲームの中で探してください
ふふっ、なかなかやりますね
魔物ではないことはわかりました。しかし、あなたについて行くわけには参りません
しからば、ごめん!
ド
ロ
ン
ッ
!
うわっ! 煙玉!
さすが忍者…汚い!
うーん、どうやら酒場にいるのは小夜子ちゃんだけだったようです
こんな酒場じゃ、冒険者も集まらないですよね…
ううっ…こんな酒場って…ひどい…
他のところならアイドルがいるかも。探してみましょうか