~3日目~

みずき

あんた、約束忘れてないわよね!

勇太

忘れてね~よ。
1週間後、魔王倒しに行くんだろ。

みずき

そんなんで、勝てるわけ?

勇太

勝てるわけねぇ~よ

勇太

期間延ばしてくれるのか?

みずき

ムリ!
ぜった~~~~~~い、ムリ!

勇太

お前は俺を殺したいのか!

みずき

1週間も待ってあげてるじゃん。
それで死んだら、アンタが悪い!

勇太

相変わらず、鬼だな!

みずき

うっさい!
とっとと鍛えなさい!

勇太

そろそろ、バイトの時間だから行くわ!

仲間と別れた勇太は、バイト先に向かう。

?

そろそろ、調理もしてみようか?

勇太

やります

?

では、こいつらを煮込んでくれる。

勇太

これ、煮込んで良いんですか?
野良モンスターじゃないですか。

?

それ、良い出汁が出るんだよ!

勇太

そ・そんな使い道があったんですね!
てっきり、ボコられる為だけに生まれた
ストレス発散用の生き物かと思ってました!

?

それは、料理を知らないからだよ。

勇太

なるほど~

勇太は一定の速度で、鍋の中身を回し続けた。
回し続ける事6時間、秘伝のスープが完成した。
勇太は忍耐と腕力が少し向上した!

?

初めてにしては、上出来だ!
皿に盛りつけるぞ!

勇太

ウィ~!

勇太が盛りつけたスープがテーブルに運ばれた。
その時!
テレビからの速報が流れた!

本日未明、魔王が殺されました!
倒したのは勇者一行との事です!
明日より、平和な世の中に戻ります。
辛い生活を送られてきた皆さま、
おめでとうございます。
速報を終わります。

?

魔王様が死んだって?
どういうことだ?

勇太

ラッキ~!

?

勇太、お前どうやって倒しに行った?

勇太

俺じゃないっす!
俺死にたくないから、まだ行ってないです!

?

なら誰が殺したんだ!
勇者はお前だろう?

勇太

先輩、知らないですか?
勇者って、
自ら名乗ったら勇者なんですよ!
僕の場合は、
周りに勇者だって決めつけられて
渋々やってましたけどね

?

それじゃ~
勇者は何人も居るのか?

勇太

いっぱい居ますよ!
この世界で勇者1人だったら、
死んだらおしまいじゃないですか~
誰かが目的を達成すればいいんで、
達成した人がこの世界の勇者って
崇められるんですよ。
達成できなかった人は、
また別の世界に行って勇者業をするんですよ。

?

俺としたことが、
魔王様の為に、このあほ面を足止めしていたのに意味が無かったなんて・・・

勇太

でも良かったっすね~
明日から、平和になるそうですよ!

?

良くないぞ、勇太!
俺は魔王様に使えていたんだからな!
死なれてしまっては、困るんだよ。

勇太

またまた~

?

まぁ~いい。
この店は、閉店だ!

?

じゃ~な!

先輩が背中を向けた瞬間・・・。

勇太

先輩、忘れ物っす!

?

何をする?

勇太

魔王様に仕えてたって言いましたよね~
って事はですよ。
先輩を殺したら、
多少なりとも金が入りますよね。
先輩、俺の為に死んで下さいよ。

?

恩を仇で返すのか?

勇太

恩は無いので、金を下さい!
そして、死ね!

勇太は、とどめの一撃を放った!
先輩は息絶えた!
勇太はその首を携えて、換金所に向かった!
遊んで暮らせる金を手にした勇太は仲間に
向かってこう叫んだ!

『勇者辞めます!』

龍王

・・・

みずき

ばっかじゃないの?

みほ

勇太のお嫁さんになります!

住民A

え!?

みほの告白は無視されたが、
勇太は勇者を辞めて、
かつての仲間達と店を始めた!
この店がのちに、冒険斡旋所となる事は
まだ誰も知らない!

#11 勇者辞めます!

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