学校に向かう通学路。
脳の中でマニュアルを開き、
重要事項を確認する。
さて。
友人を作る際、重要な点を洗い直そう
学校に向かう通学路。
脳の中でマニュアルを開き、
重要事項を確認する。
うわっ!
あれって……
うん、成輿(なりこし)だ……っ
向こうの道使お?
そうしよ。関わらない方がいいってみんな言ってるもんねっ
僕へ断続的に視線を送りながら、
近くを歩く女子生徒が会話をしている。
……………………。
別段ひっかかるわけではない。
これは僕が入学してから一週間の行動で、
こういった愚民に植え付けたイメージなのだから。
そう……問題ではない。
これから先、
友人作りにおいてもっと大事なものがある。
大事なもの…………それは……!
ステージだ
ああいった輩は無視でいい
なぜなら僕とはステージが違う
僕のような主人公レベルの人間にとって。
友人とすべきは主人公レベルの人間。
なんかぶつぶつ言ってて気持ち悪い……
ね!
早く行こッ!
ああいう、極めて美しくも無く特筆して不細工なわけでもない、所謂(いわゆる)モブ連中と僕とではステージが違い過ぎるため、友人関係になることは出来ない。
僕の高校で人気……
それも主人公レベルの人気を有する者といえば……
針田 陽子ですっ
高校ではたっくさんのお友達を作りたいと思っているので、
よろしくお願いしますっ!
うぉぉぉぉぉ!
陽子ちゃああぁぁぁぁん!!!
針田(はりだ)陽子(ようこ)、か
その人気振りは中学時代から有名らしく、
高校に上がってからもいい噂しか聞かない。
僕が知っている女子では最も近いステージにいるだろう。
他には……
東堂(とうどう)健介(けんすけ)
またライブやるから、よろしく
キャァァァァァ!
東堂くーん!!!!!!
東堂健介もありだな……
確か父親が有名なミュージシャンで、
東堂健介自身もバンド活動を活発にしているらしい。
主な人気は女子によるものだが、
男子の友人も多いと聞く。
こいつも僕と同じステージと考えていいな
ん?
もう着いてしまったか
普段することのない事に逡巡していたせいか、
あっという間に時間が経っていた。
正門から下駄箱に向かう途中も、
僕の周りからは人が避けていく。
歩きやすくて気分がいい。
この学校は私服校だ。
色とりどりの制服、勉学には向いていないだろうという格好。
とにかく様々な個性が己を主張している。
こういった観点からも、
僕と同じステージにいる人間を探すことが出来る。
果たして。
おはよーみんなっ!
みんなチケット買ってくれてありがとねーっ!
……………
じゃあな末山、頼んだぞ
はい……
果たして、
僕の友人第一号という、
光栄な称号を手に入れるのは、
一体誰になることやら。
ふっふっふっふ…………!