あれは、私が子供のころ
彼とまだ一緒にいたころ、弟がいるという話を聞いた。
身寄りがおらず、遠い親戚に育てられた私にとって、兄弟がいるというのは非常に羨ましいことでもあった。

その弟は彼と違い明るくて繊細な気配りができるらしい。
彼は、そんな弟が純粋に羨ましいと話していた。

彼の話を聞きながら、私は想像した。
私が尊敬する彼に、「羨ましい」と言わせる弟とは、どんな人物なのかと。

ソール・グルナディエ

ここは……………

古森

村でも知る人ぞ知る秘湯だ。この辺は温かいしな

ソール・グルナディエ

………本当だ。温かい

風ノ助

で、なんで俺も同伴させられてるんだ………?

古森

暇だったのだろう?

風ノ助

朝から畑の手伝いしてました!!

ソール・グルナディエ

畑?貴様は確か漁師ではなかったか?

風ノ助

ああ、実は向かいに住んでるばあさんが体壊しちまってな。草取り頼まれてたんだ

風ノ助

結構嬉しいんだ。頼られるのってさ

ソール・グルナディエ

………………そうか

古森

だから、私たちもこうして頼っているんじゃないか

風ノ助

乗っかってくるな!!

ソール・グルナディエ

確かに、入ると気持ちよさそうだ

古森

安心しろ、水男殿。村長はこの場所を知らない

水男

………………何故それを私に言う!?

風ノ助

どうでもいいけど、さっさと湯浴み済ませちまえよ

ソール・グルナディエ

トイレみたいに言わないでくれないか!

ソール・グルナディエ

……………………ふぅ

ソール・グルナディエ

やはり、自国でも他国でも、風呂というものは落ち着くな……………………

ソール・グルナディエ

こうしてリラックスできて、精神的にも安らげる。遠くから聞こえる水が流れる音が心地いい

ソール・グルナディエ

風ノ助や古森も離れているし、人の気配も感じな――――

榊 風音

こんにちは

ソール・グルナディエ

……………………………………

榊 風音

湯加減はどうですか?

ソール・グルナディエ

……………き

榊 風音

き?

ソール・グルナディエ

きゃあああああああああああ!!!!

榊 風音

え、あの…………

若奈

ソールさん、気に入ってくれたかな…………

……すみません

若奈

はーい、ちょっと待ってください

若奈

……………え?

シャルム・ソー

ボクの先生を知りませんか?

若奈

………………キミ、誰?

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