…どうやら、腕のところをやられてしまったようだ。
…痛ったあ。
…どうやら、腕のところをやられてしまったようだ。
…出血と言っても、軽傷で済んだが
…っ…傷ができただけじゃなくて、折れちゃったみたい…。
私は、左腕を持っていたスカーフで抑えた。
…まだ生きていたか。
…もしかして、さっきのユニコーン!?
…ああ。
…なんて不愛想なの。
冷たいオーラが漂っている…。
レディに向かって何すんのよっ!!
すると、ユニコーンは…
れでぃ?そんな生き物がいたとは知らなかった。
表情を変えずに淡々と話している。
…っ!!
ユニコーンは容赦なく、攻撃をしてくる。
どうした?
俺を捕まえたいんだろ…?
…ユニコーンがこちらへと近づいてくる。
…くっ!
私は思わず後すざりしてしまった。
このままだと…やられる。
私は必死に作戦を練る…。
どうすれば…このユニコーンを捕まえられる。
…だめだ。
…私はここまでか。
…どうせ、私は死ぬつもりだったんだ。
ー私は生まれてきてはいけない存在だったんだから…。
…。
今日も巫女として頑張らないと!!
私はここの神社、”蘇魂神社”の巫女だ。
いつも通り、私は神社の周りを掃除する。
おーい!生歌ー!
…寿里歌!
この赤いリボンを付けた少女は、私の双子の姉の花鳴 寿里歌(はななり じゅりか)だ。
…唯一の私の支えだ。
ーだけれど…。
…寿里歌!
…っ!!
はい、父上。
…この人は、神社の神主であり、私の父だ。
ダメではないか…"こやつ"と一緒にいては…。
さあ、中に戻りなさい。
…。
…そう、私は"忌み子"だ。
生まれてきてはいけない存在。
代々、この神社の家系では…双子は望ましくないらしい。詳しくは知らないけれど、後から生まれた私は要らない子なのだ…。
だから、私だけ本家ではなく、本家の隣にある小さな小屋に住んで、毎日神社付近を掃除をしている。
姉の寿里歌は、この神社の跡取りのため、大事に育てられてきている。
…だから、忌み子の私とは本来、会ってはいけないのだ。
…なんで…なんで、生歌も家族だよ?
私の大事な妹で…父上の娘じゃない。
寿里歌…。
寿里歌はこうやって、いつも庇ってくれている。
…聞こえなかったか?
早く家の中に入れっ!!
…父の怒鳴り声が、神社中に響いた。
…はい。
寿里歌は…諦めて、中へと戻って行った…。
…おまえさえ生まれて来なければ。
…ごめんなさい。
…ああ、今まで何回謝っただろうか。
ー生まれてきてごめんなさい…。
…ん?
…私、階段から落ちたはず。
いつの間にか…私は霧に包まれていた…。
…初めまして、私…"ロンギング"と申します。
わっ!?
…突然、人が現れた。
いや…。
…私を迎えに来てくれたのかしら?
そうだ、私は階段から落ちて死んだんだ…。
…うん、死んだはず。
…お迎えに上がったことは事実ですが、残念なことに…あなた様はまだ死んではございません。
…え?
それってどういう…。
…あなた様は選ばれし者なのです。
"NO.02"…忌み子の…花鳴…生歌様…。
…っ!!
…どうして、私の名前を。
なぜ…忌み子っていうことも知っているの。
…なんで…名前とか知っているの?
…それはお答えできかねます。
さあ…ご一緒に参りましょう。
…ちょっ!?
…この仮面男。
一体何が目的なの…。
…向かわれる場所にて、生歌様には…
とある"ゲーム"にご参加していただきます。
…ゲーム?
…ゲームね。
何でも良いや…どうせあれだったし…。
…はい。
そのゲームに勝利しますと…"望み"が一つだけ叶います。
…望みが…叶う…?
…どんな望みも?
ええ…生歌様が望まれる存在になれることも可能です。
…望まれる存在。
寿里歌みたいに…。
…そのゲーム参加するわ。
…そうだ。
…ここで負けたら…私の望みは叶わない。
…さあ、来なさい…ユニコーンっ!!
ー続く