俺はいつの間にか赤髪の少年の胸ぐらを掴んでいた。
…おまえこそ、誰だ。
おまえか?…おまえがシロエを…。
俺はいつの間にか赤髪の少年の胸ぐらを掴んでいた。
…俺は…薔薇城 赤貴。
…ただの赤貴。
シロエ姉さんがどうかしたの?
…薔薇城…。
こいつもシロエの弟か…。
…さっき、シロエの叫び声が聞こえたんだ。
…シロエ姉さんの叫び声が?
赤貴は何かを考え始め、しばらくするとこう言った。
なあに、心配することはないさ。
この屋敷の警備はしっかりしているんだ。
…きっと、何かに驚いたんだろ。
…。
…あの叫び声は、驚きなんかじゃない。
何かに怯えるようなものだった…。
早くシロエを探さないと…。
あっ!黒貴は…?
…そうだ。
黒貴も一緒のはずだ…。
どこに行った…?
…そう言えば…見てないな。
!!
…黒貴もいない?
シロエと一緒に何かに巻き込まれた…?
もしくは…。
…赤貴、一緒に探してくれないか?
…黒貴なら、部屋にいると思うけれどね。
俺は赤貴に、黒貴の部屋まで案内してもらった。
黒貴、いるか?
…返事がない。
けれど…人の気配がする…。
…開けるぞ?
…わあ。
…そこは書斎のような部屋だった。
本がたくさんあり、机にも置いてある…。
…ふと、俺は床下を見た。
…黒…貴…?
…。
…床下に黒貴が横たわっていた。
黒貴っ!?
…赤貴が黒貴を揺さぶっても…一向に目覚めない。
だが、生きているようだ…。
…ん?
何かを握っている…。
…黒い鍵だ。
…この鍵。
どこの鍵か…わかるか?
…赤貴はしばらく鍵を見つめていたが、俺のほうを見た。
ああ…!
赤貴は俺の手を掴み、どこかへと駆け出した。
ー続く