「ヒュォウ！」風を切る音・・・
頼みに固唾をのんで私は見守る
行けーーっ！！
「ヒュォウ！」風を切る音・・・
頼みに固唾をのんで私は見守る
あーー・・・
ドンマイ！士堂くんっ
さっきから試行錯誤してるのは、あの
「いかにもな緑色のクリスタル」
あれに当てればいいってところまでは
この部屋の謎が解けたの。
もいっちょ！
キリキリと鳴らされる弦・・・
凛々しい構え・・・
や、見とれてる場合じゃないんだけど・・
ここはモンスターもいなくて、いかにも
謎解きクリアしてくださいってフロア。
くーっ！ 俺、剣道部で
弓道部員じゃねーからなー
・・うー・・
で、でもでも！
私よりは断然運動神経いいんだし！
きっと次こそは～・・
そう、運動オンチマイナス100点の私はー・・
この貧弱な上腕二頭筋は・・・
そもそも、弓を引き絞ることすらできなかったんですよ。
本来、スポーツマンだからって
なんでもできるわけじゃない。
野球選手にいきなりサッカーでロングシュート打ってっていうようなもの。
士堂くんは剣道部で長年腕を磨いてきたけど、
「弓」はそう、専門じゃない。
でも、それでも文科系で体育全般がダメな私よりはよっぽど期待ができる。
それは私も彼もお互い了承済のこと。
これを悪戦苦闘してるわけです。
自信無くなってきた・・・
・・・ていうのと・・・
物理的にヤバいよな・・この状況・・
そんな、士堂くんが悪いわけじゃないよ！
寧ろ私は何もできないし・・・
・・でも、うん、・・・ちょっと
ヤバいよね・・これ
つってもやるしかねぇ！
集中！俺！
行け、あーーっ！ 惜しいーー・・・
アタリさえすれば・・
・・ってもうなんかマンガのセリフみたいだぞ・・・
ヤバい。これはヤバい！
今眼前にある「ヤバい」。それは・・・
矢の本数。
テレビゲームなら無限に撃てる弓矢とか、
壺を割ったらご都合よく矢の補充アイテムが
でるとか・・・そういうのを期待したいけど
現実。矢なんて無限に涌いてくる
もんじゃありません。
残り2本・・・て
！
あーーー！！！
思いついた！
なな！ 何？！
おどかすなよ。何を思いつい・・
無限の矢
・・・え？ できるの？そんなの・・
ここをこうしてー・・・
ああー・・・！
そっか、それだ！
ちょっと、ね。
それじゃ、気合い入れてバンバンいきますか！
ん、また右にそれて外したけどーー・・・
失敗なんてコワくない！
前の仕掛けの謎解きで使った
ロープ、とっといたの。
こいつを手繰り寄せればー・・・
おかえりなさいｗ カワイイ矢♪
これでリトライ可能！
その後何回か外したけどー・・
うん、本職にゃ程遠いけど、だんだんコツがつかめてきたよ。
これでッ！！
やったーーーー！！！
さすが士堂くん！ステキ！
さすがなのは朱鷺子だろ！
謎解き勇者！さすがの頭脳！
「無限の矢：作戦」成功だぜ！
＼ティロリロリロリロン♪／
なんて効果音が聞こえそうな嬉しさ。
これよこれ。
謎を解くの・・・快感・・♪
いけな！ ・・今
ニヤケてた。絶対。
こう、ダメな恍惚の・・
・・いや、今の無し。
さあ、どんなサービスが待ってますか！
トラップじゃないのは念入りに調べといた。
それこそ、謎解き勇者の責任にかけて。
おお！いかにもな宝箱出現！
中身は何かな～
えーー・・と・・
・・
ん、罠じゃないのは調べといたよ。
なんかこうさ、「伝説の剣」とか
そんなのでたらー・・
・・・・
・・ッッ！！！
え？どしたの
なんか気まずそうな
表情・・
うん・・。出た。
・・
「伝説の鎧」
えー！それなら良かったじゃない！
・・・女性用の。
はい？
女性用の。
いわゆる、ゲームやマンガで
ありそーな
あの、スケスケでヒラヒラで
どこを金属で守ってるんだって
ツッコミをいれたくなるよーな
あーあるよねー。ゲームだと・・
で、デザインに反比例して無敵の
防御力みたいな数値の
（空白のワタクシ）
（驚愕のワタクシ）
それ・・・
私が着るのーー！？
？？？？？？？？？？？？？？？？！！！！！！！？？？？？？
士堂くんに後ろを向いてもらいました。
ハイ。分かりますよね。
ええ。ワタクシ。覚悟を決めました・・よ・・
普段から意識してる男の子の前でね。
リアルでこの、コスプレじゃなくてね。
「コスリアル」（今勝手に造語しました）
するハメにですね・・・。
勇者の試練はキビシイです。
To be continued...
