いやー、参った参った・・・・
何度階段を降りても同じ階だ。
これは”また巻き込まれた”ようだな

頭を掻きながら階段を降りる。
何度降りても5階からは変わることがない。

なんでこうもまきこまれるんだろうかねぇ・・・
きっと、人生が呪われているのか?
こんなにも悪いことばかりだと、良いことがあると言うのだが・・・これはもう、幸薄いと言ってもいいかもしれない。

ブツブツと喋りながら進まない階段を進んでいく。
このように”異変”に巻き込まれたのは今日で10連勤目だ。

初日が蛇に追いかけられた。先日もらった人生初のラブレターはサッカー部の木村ので、それを見た持ち主の蛇だったようだ。
翌日は神様だったなぁ。面白いやつだ。と言って変な呪いをかけられた。
きっとこれのせいだろうな。

このままだとイタチごっこか・・・

仕方ない。部屋を探索してみるか。

さって、504号室まで正解なしか・・・
いい加減、当たってほしいものだ。

ドアノブをひねる。
すんなりと開いた扉からは嫌な予感しかしなかった。

こういう時は、スマートに終わらせるか・・・

すー・・・・はぁー・・・・

よしッ!!

しつれーしまーす・・・

だれかいますかー?

自問自答のように他問他答を願う。
返事はない。

そっと靴を脱ぎ中に入る。

待てよ。靴を脱ぐ必要があるのか?

あるに決まってるでしょ。馬鹿なの?

ッ!!!??

意図もしない返答に体が跳ねる。
とっさに周りを見渡すが誰もいない。

全く、人の家に上がっておいて家主に挨拶もなしか?
最近の学生というのは皆”礼儀知らず”だな。
使うまいと思った言葉だが、あえて使うとしよう。
”これだから最近の若い奴は”とな。

奥の部屋から制服を着た女の子が出てくる。
ここらへんの学校ではない。というか。
発言が高齢者だ。

え、あっ・・・すいません・・・

”すいません”だぁ?
すみませんだろうがッ!!そんなこともわからんのかッ!!

すッすみませんでしたッ!!

・・・まぁ、良い・・・
ところで何のようだ?こんなマンションに来るとは・・・お前、物好きか?
大してなにもないぞ?
それともあれか?死体でも見に来たか?

それはそれは・・・本当に”愉快だな”

死体?!
もしかして、ここに閉じ込められた原因ってそれじゃないのか?

なんだ?物好きではないのか?

それはそれは・・・残念なやつだな。
まぁ、あまりオドロオドロするな。
ここには私とお前、それしかおらん。

ふたり・・・か・・・
誰も住んでないマンションと言われて、罰ゲームで来てしまったけど・・・

とんでもないな・・・

ん?二人?

おかしいな・・・
誰も居ないって聞いたのに・・・

あぁ、生きてる奴は誰も居ないぞ?
はたから見れば独り言だ。寂しいやつだな。

ははは・・・ソウデスカー

これはもう・・・仲間入りするしかなさそうだな・・・

つまり、学校でゲームに負けて、この心霊マンションを調べてこいって言われたのか・・・
ほとほと運が無い・・・幸薄い顔をしてるからな。仕方がないな。

まぁ、ここであったのも何かの縁だ。ゆっくりしていけ。
茶でも出してやろう。
あ、茶菓子は期待するなよ。

は、はぁ・・・ありがとうございます。

しかし・・・これからどうしようか・・・

霊体は心境の残留思念。
あまり刺激すると危ないしな・・・
かと言って・・・このままなにもしないのも・・・

”出る方法が知りたい”
といった顔をしているな・・・
まぁ、その気持はわからなくもない。
わからなくもないが・・・

マズったか・・・

知らないものを無理に考えても仕方ないだろう?
なら、その高回転に回っている頭を鎮めたらどうだ?
何事も、急いでは始まらないぞ?

・・・・・・

そうですね。
そうします。

よしよし、ではそこで待ってろ

幽霊マンション前編

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