あの時、あの場所で。
全てが終わったと思っていた。
これ以上罪を重ねることもなく、望んでいた穏やかな日常を取り戻した、ハズだったのに。
そのためにこの手は血に染まったはずなのに。
……どうして。
どうして、こんなことになっているんだろう。

真澄

……待たせてごめん、ちょっと遅れた

…………
きて、くれたのね

ここはとある駅前にある喫茶店。
奥の個室にある席で、ホットコーヒーを飲みながら、落ち着かない様子で、二人は久々に顔を合わせた。

久しぶりね……ええと……
今は……なんて呼ぶべきかしら?

真澄

全部違うからね、そりゃ戸惑うか……
真澄でいいよ、凛
私も名前で呼ぶから

……そう……

二人の少女は、数ヶ月ぶりに顔を合わせた。
このお話は、ハッピーエンドで終わったはずの物語を、悪意が侵食したことで再び紡がれる、罪のお話。

真澄

単刀直入に言うよ
……姉貴がさらわれた
多分、犯人はあいつらだ

こっちもよ……
あやを……あやを、連中に誘拐されてしまったわ……

真澄

そっか……
あいつら、余程私達に未練があるみたいね
ご丁寧に、脅迫状まで送り付けてさ
参加しろって、新しいゲームってやつに

『断罪ゲーム』……
また、私達に人を殺せというの……?

真澄

だろうね
何が綺麗さっぱり終わらせる、だよ……
知ってはいたけどさ、言ったこと守りゃしない

また……同じことを繰り返すの……?

真澄

忌々しいことにね、それっぽいよ
今度は二人して人質まで使ってさ
クソ、あいつらの手口は知ってたのに……
完全に油断していた

…………

分かったわ
じゃあご希望通り、参加しに行きましょう
おたがいの家族を護るためよ
何人殺そうが知ったことじゃないわ
今更、これぐらいでビビる程臆病じゃないもの

真澄

相変わらず切り替え早いねえ……
まぁ、そんなことだろうと思ってたけど

真澄

今回は完全に味方だね
了解、じゃあさくっと殺しに行こうか
大丈夫、私もちゃんと手伝うから

えぇ……手伝って
あいつらは手をだしてはいけない聖域に土足で踏み込んできた
その代償は、キッチリと払ってもらうわ

真澄

連中の生命でね全部支払いさせてやる
じゃあ行こうか、凛
『断罪ゲーム』とかいう、くそったれなデスゲームに

そうね、真澄

終わったはずなのに。
殺しなんてもう、したくないのに。
彼女達のそれだけの小さな願いですら、すぐに赤黒く満たされていく。
新しい罪の物語。

『断罪ゲーム』

終わった世界から始まる、大切な人達を取り戻すストーリー。
彼女達は、再び真っ赤に染まる……。

デスゲーム、再び

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