え??
全然自分でも気がつかなかった。
ソファにそっと腰掛けると
みなを座るように促す
ステージから本番の音が
漏れてくる中
わたしたちにこんなことを
話し始めた。
おつかれさま。
ごめん
ステージに乱入しちゃって
驚かせてしまって申し訳なかった
いっ、いえ
助かりました!!
あの魔法ってなんだったんですか?
まさか本当に魔法使い!?
ははっ。
違うよ。
きみさ
ステージに上がる前から声掠れてたよ
ここにきた時は大丈夫だったのにね
え??
全然自分でも気がつかなかった。
ソファにそっと腰掛けると
みなを座るように促す
ステージから本番の音が
漏れてくる中
わたしたちにこんなことを
話し始めた。
きみね。
練習しすぎで喉痛めてて
少し休んだけど
まだ完全じゃないままに
調子が良いからって
一気に声だしたでしょ
でさ
ものすごい気負ってて
緊張してて
喉に異様な力が入った
さいご
あの曲
何か特別な思いがあったんじゃない?
あそこで
緊張の限界にきたんだよ。
それで声帯がちゃんと動かなくなった
だから声が出なくなったんだ。
このままだと
イップスになっちゃって
歌が歌えなくなっちゃうかも
そう思って
いちかばちか
最悪僕が歌っちゃって悪者になればいいか
ってね。
そうしたら君声出るようになった
本当に良かった。
と
え?
でもなんでそんなことわかったんですか??
僕もあったんだ…
急に声がでなくなって
GODさんの話によると…
GODさんにもあこがれのバンドがあったんだ。
僕ね
大阪でものすごい人気あるバンドがあって
そのころとがってたから
そんなの音楽知らないヤツが言ってるだけ
って高をくくってね。
そのライブにいったんだ
そうしたら
ものすごいバンドだった。
そのバンドの名前は
ヱイジャ。
ものすごい世界観
完成された
圧倒的なボーカル
そして
楽器隊の演奏力
歌だけではなく
楽器からもすべからく放たれる
表現力。
一斉に音を出し
そして急に訪れる静寂
そのとき
僕の耳には
”無音”が鳴っているのが聞こえたんだ
厳密に言ってしまえば
無音なんだから聞こえない
感知など出来るわけないんだ。
でも
あの表現力が
”無音”
を
”無音”が聞こえてしまう
そんな矛盾をひきおこした
僕は完膚なきまでにうちのめされた
僕も練習して
あんな”無音”を奏でる
ボーカリストになるんだって。
そして。
幾許かの時が経って
とうとう共演できる
対バンできる機会を得たんだ
必死に毎日練習した
それも
何回も喉を潰して、休んでを繰り返して
そしてね
今日の君のように
どっかですごい気負ってたんだね
ステージに上がったら急に声が出なくなっちゃってね
もうどうしようかと思った。
そうしたら
ステージ下でみていた
ヱイジャのボーカルの人が
口パクで
「大丈夫歌える、頑張れ」
って。
そうしたらなんか
肩の力が抜けて
歌えるようになったんだよね。
だから彼らは今でも僕の目標であり
憧れのバンドなんだ。
…そうだったんですね。
ありがとうございます!
わたし。
そのヱイジャさんみたいに
”無音”を奏でるボーカルになります!!
見ててください!
ふふっ。
もう大丈夫そうだね。
そうだ
君たちさ
この後予定ある??
すこし時間かかっちゃうけど
打ち上げにいいところがあるからいかないか??
僕が招待するよ
おーーー。
神様の誘い!!
もちろん快諾して
打ち上げに参加することに
あ、そうだ。
今更気づいたんだけど
GODさん僕っていうんだw
かわいいw
さー
GODさんの車にみんなで乗り込んで
出発だ!