キャラクターデザインを学ぼう! vol.2
季刊エス×ストリエ コラボレーション企画
田中将賀さん
スペシャルインタビュー
&添削
イラストと小説の投稿ができる新サービス
「ストリエ」と季刊エス編集部の
コラボレーション企画、第2回目は
『とらドラ!』
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』
『心が叫びたがってるんだ。』
など数々のアニメ作品に参加し、イラストの仕事も手がけているアニメーターの田中将賀さんが登場。
なんと!
特別に「ストリエ」の投稿者からの絵のお悩みにアドバイスしてくださいました。
「どんな風にアイデアを出すと良いか」
「センスの良い絵は?」
みんなが気になる質問に答えてくれたので、みなさんも参考にしてみてください!
白玉えんさん
キャラクターデザインの際の悩みなのですが、私はどちらかというと素朴な雰囲気のキャラクターを多く描いており、「センスの良いキャラクター」というのが少し苦手です。センスの良いキャラクターを描くには自分のセンスを磨かなければと思うのですが、おすすめの方法などがあれば、是非ご教授いただきたいです。
なるほど。
「センスがいい」というのは漠然とした表現なので、その裏側には自分の絵にはセンスがないという意識があるでは? と思いました。
おそらく、白玉えんさんが思う「センスのいい絵」というものが具体的にあるはず。その絵を描いてみたり、真似てみるなどして、自分の思う「センスの良い絵・もの」を意識的に研究するのがオススメです。
「センス」を感じる点は人それぞれにありますが、例えば「今っぽい」という意味で、少しエッジのある絵の方が、センスがあるように見えるでしょうか?
それならば、なにか縛りをつけて描くと良いですね。
「縛りをつける」と言うと、ネガティブに取られますが、実はポジティブな効果をもたらすことが多いんです。
例えば、目の形を今よりアニメっぽく、デザイン的に描いてみたり、瞳をタテ長にするのはどうでしょう。
なるほど! シャープなまぶたや細長い瞳のデザインは今っぽいイメージですね。
あとは、鼻の穴を描かないとか、デザイン的に色数を減らしてみるなど、具体的な縛りを考えてみてはいかがでしょう。
こういった変化のつけかたは「自分の絵柄」がなくなってしまうように思うかもしれないけれど、それはないので安心してください。「自分を揺さぶってみる」作業が必要なので、まずは憧れている作品の模写からはじめてみてください。
ユニさん
憧れの田中将賀先生にアドバイスをいただける事を光栄に思います。「偉人転生キャラクターコンテスト」でココ・シャネルをモチーフに描いたのですが、自分の想いが伝わらなかったようで、何が足りなかったのかアドバイスをお願いいたします。
設定がありますね。
短くまとめますと「大手人気ファッション誌の編集長だけれど、実は人気コスプレイヤー」という二面性のあるキャラとのことです。
そうですね…
「ファッション誌の編集」なので、髪型でもっと遊んでみてもいいかもしれませんね。今はシンメトリーのボブヘアーなので、これを崩して、アシンメトリーな髪型にしてみるとか。コスプレの時との違いも出ます。
服装も、普通のOLのように見えてしまうので、例えばもっと肌を露出するなど、ある程度のステレオタイプを狙って、一目で「普通の人ではない」とわかる感じを出してみてはいかがでしょう。メイクは、イラストでは難しいんですけど、まぶたにシャドウを入れるなど、メイクを工夫するのもありです。
どうしても、いつも自分が描く「かわいい女の子」に落ち着かせてしまいがちです。なので、シャツ1つとっても、キャラクターに合わせてデザインの凝ったものや変わった色のものにするなど、設定を明確にして描くと、二面性のある設定もより伝わると思いました。
あと、今回の場合だと、モチーフにした人物がいるので、そのファッションデザイナーについて調べたり、髪型や服装はファッション誌やモデルを参考にすると良いかもしれません。
mtさん
自分のキャラクターはまだ洗練されていない未熟さが残るような気がしていたので、この企画を通じてブラッシュアップの方法を学びたいです。どんなアドバイスがいただけるのか楽しみです。
色々な絵を描いてみるしかないんですよね。自分がいいと思うもの、憧れている人の絵を模写してみること。僕も、まずは人の絵の真似から始めました。パクリという言い方は言葉が悪いのですが、なにもないところから描き始めるというのは、結局自分の絵を置きにいっているのと同じなんです。
横に見本を置いて模写するのもアリなんですが、下に置いて見本をなぞってみてください。なぞると普段絶対に自分が引かない線を描くことになるので、発見につながります。
あとは、服のバリエーションが増えると、キャラクターのシルエットに個性が出るので、袖や襟の絞りなどを工夫してみると効果的。しわなどはすべて描くのではなく、線を減らすように工夫してもいいかもしれませんね。
なるほど。mtさんは手を入れたポーズも描いていて、印象的ですね。
手は視線を集めるのに非常に重要なアイテムの一ですが、対比的に少し大きく見えるので、微調整すると良いかもしれません。他には、この子の服と帽子のバランスが気になりました。帽子がハイセンスだけど、洋服がシンプル。ストールなどアクセントをつけてバランスをとってみました。
キャラクターの設定を決めてデザインしているのですが、その設定に絵が負けしてしまっている感じがしました。自分の得意なところはよく描けていて、興味のない部分に力が入ってない感じでしょうか。キャラクターの厚みが見えると、目を引く作品になるし、見る側ものバックボーンを想像できるので、表情や小物、髪型などに情報を込めるように気を遣うと良いと思います。
column
「キャラクターのバリエーションはどう作る?」
『ストリエ』のお話を見ていると、モブ的なキャラクターも求められていると感じました。脇役のキャラクターを描くコツを知りたいです。
手っ取り早いのは目力をなくすこと。
瞳のサイズを変えるとか、まつげを細くするとか、『すっぴん顏』にして各パーツの印象を薄くしていけば地味なキャラクターができます。
それと、実は美少年や美少女を描くのは簡単なんです。そうではない、王道から外れたキャラクターや老若男女を自分のタッチの中で描き分けられると素晴らしいですね。
田中さんはそういった描き分けをどのように習得されたのでしょう。
僕の場合は、普通に描くと地味になるんです(笑)。美少年少女を描くことの方が難しくて。自分の想像だけでキャラクターを描き分けることには限界があるので、例えば、映画に出てくるキャラクターを全部描き出してみるなどして、描き分けの方法を学んでいくと良いですよ。
皆もおじさんや、地味な子も描ける方が良いということはわかっているはずなんですが、すぐには上手く描けない。
何度も描いていくうちに、自分なりの描き方というのが見つかってくるはずです。
そういった練習をする際は、実写を参考にするほうがいいですか?
そうですね。絵を参考にした場合、その作品の描き手の力量以上のものは得らないものです。描き分けが苦手な作家の作品を模写しても、描き分けを修得できないので、実写の方が確実なんです。
漫画家の浦沢直樹さん、浅野いにおさん、小山宙哉さんは描きわけが上手だと感じるのですが、実在のモデルを参考にしたり、顔の一部に特徴を置いてデザインする手法をとっているのではないかな、と思うんです。僕は自分でそのような方法を取り入れて描いています。
『好きな描き手の描き方』を研究して自分でも真似してみるんですね。
デフォルメの上手な人は、線の選び方や特徴をつかむのも上手いので、実写とデフォルメのうまい人の絵の二種類を参考にすると良いですね。
どちらにしても、一度自分で描いて、失敗してみないとわかりません。
老人や不細工なキャラクターを描く際も、まずは実写を参考に描いてみて、うまくいかずに大いに凹んでから、デフォルメのうまい人の作品をみて、自分にあった描き方や解釈を模索していくと良いと思う。
これは、自分が好きなものを描きたい場合は不要な工程ですが、そこからもう一歩プロとして踏み込みたいのであれば、自分が興味のないものにも広く興味を持つことが大切です。これが正しいという事ではなく、自分に合うやり方は様々ですから、一つのきっかけとして考えてみてください。
田中将賀(たなか・まさよし)/広島県出身。
キャラクターデザインを手掛けた作品に
『家庭教師ヒットマンREBORN!』
『とらドラ!』
『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』
『あの夏で待ってる』
『じょしらく』
『心が叫びたがってるんだ。』
『クロスロード』
などがある。
2016年夏公開の新海誠監督作品『君の名は。』のキャラクターデザインを務めることが発表された。
イラスト関連の仕事では、現在発売中の「ニュータイプ」(KADOKAWA)4月号・付録のスクールカレンダーに参加した。
また、インタビューや対談を多数収録した『田中将賀ぴあ』も3月に発売となる。
受賞作品は田中将賀さんのコメントがもらえる!!
「季刊エス×ストリエ 第2回キャラデザコンテスト」開催!
季刊エスとストリエプロジェクトがコラボした第二回キャラクターデザインコンテストを開催します!
今回のテーマは「学生」。
学生をモチーフにしたオリジナルデザインキャラクターを投稿してください。
応募作品の中から、エス編集部とストリエプロジェクトに選ばれた3名のイラストレーターには、田中将賀さんのコメントがもらえるチャンス!
ストリエからあなたの考えたキャラクターを投稿してみよう!
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